社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<プール熱>発熱、咽頭痛、結膜炎‥‥大人もかかる夏の感染症

 依然猛威を振るう新型コロナウイルスだが、感染症はこれだけにとどまらない。特に夏の時期に増えるのが「咽頭結膜熱」だ。通称「プール熱」と呼ばれ、名前をご存じの方も多いだろう。

 これはアデノウイルスというウイルスが原因で発症する。感染力が非常に強く、潜伏期間は5~7日。他のウイルスと比べて潜伏期間はやや長いため、気づかないうちに周囲にうつしてしまうケースも多い。

 一般的に子供に多く発症すると思われがちだが、大人の感染も増えている。主な症状は発熱、咽頭痛、結膜炎だ。特に大人の場合は、38~40℃という高熱が出て、のどの痛みや腫れもひどく、上気道炎を発症する。場合によっては頭痛や下痢の症状が出る人もいる。特効薬がないため、基本的には解熱剤や鎮痛剤などの対症療法で経過を見る。

 この病気は、プールで感染するケースが多いことから「プール熱」と呼ばれているが、現在は定められた量の塩素が含まれ、衛生管理が徹底されているため、プールの水で感染する危険性は少ない。むしろ、プール以外の場所で感染する可能性が高い。例えば、スポーツクラブの密になる更衣室やドアノブ、エレベーターのボタン、エスカレーターの手すりなどに触ることによる「接触感染」。あるいは咳やくしゃみを介した「飛沫感染」で感染が広がっていく。

 予防法は石鹸による手洗い、うがいだ。感染者との接触を避けることも効果的。これらの対策は新型コロナの感染予防として行われているものばかりなので、簡単に実践できる。

 子供が発症した場合は学校保健安全法の「学校感染症」に該当するので出席停止となるが、大人の場合、国で定められた出席停止期間はない。そのため、基本的に自己判断になるが、周囲に感染させないためにも、発症期間は通勤や外出を控えたほうがよいだろう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
2
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
3
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか
4
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
5
「練習すると風が止む」武田修宏のモテすぎ伝説「広瀬すずの叔母と交際していた」