芸能

吉永小百合の「過去・現在・未来」(5)「私がダマしたんです!」と反発

 結婚といえば、こんなエピソードを思い出す。

 岡田とは、まだ小百合が19歳の頃に知り合った。岡田は当時、小百合が出演した「若いヨーロッパ」というドキュメンタリー番組(ヨーロッパの若者にマイクを向けて生態を聞いたり、風物をレポートしたり)で、「お目付け役」のスタッフとして同行。実はその時、周囲の女性関係者は、小百合にこんなことを言ったという。

「あなたが仕事を続けていくのなら、ああいう人(岡田)と結婚したらいいんじゃないの」

 小百合はそのことを覚えていて結婚に至ったのかどうか、それはわからないけど‥‥。

「自分を救うために結婚します」

 これが公の場で語った、小百合のコメントだ。小百合は私の自宅に遊びに来た時、あるいはインタビュー取材で会った時、私にもこう言った。

「とにかく苗字を変えたかった」

 両親と絶縁覚悟の駆け落ちみたいなものだった。親の縛りから逃れたかったのだ。そんなところに年上の男が登場し、親身になって慰めてくれた。だからこれはいわば、「慰められ婚」。

 一方で小百合は、近著「私が愛した映画たち」(集英社新書)で、最初は恋愛でもいいんじゃないかと思ったこと、でもどうしても結婚したくなったことを綴りながら、

〈親からは結婚を反対されました。(中略)押しかけ女房なんです〉

 と回想している。渡の時に続いて、やはり大反対した両親は、体調を理由に、結婚式には出席していない。

 そういえば、私の家に来た小百合は、私が、

「あるマスコミ人が『吉永小百合も岡田太郎にダマされちゃって』と言っていた」

 と言うと表情が突然、キッとなって、

「私がダマしたんです! 私の方がまみさんよりしたたかですから」

 なんて反発。後日、「あんな言い方は小百合ちゃんに似合いませんよ」と忠告のファックスを送ったものだった。

 だけど、全てはタイミングだったのだろう。

「もし(声が出ない)病気をしなければ、結婚しなかったかもしれない」

 そうも打ち明けてくれたのだから。

 結婚後、小百合は1年以上、仕事をせずに、家庭に引っ込んだ。彼女にとっては、夫のために料理を作ったり、買い物に行ったり、洋裁を習ったりという主婦生活を送ることが嬉しくてしょうがなかったのだ。

 夫婦で食事に出かければ、歓待も受けた。赤坂の「天一」という天麩羅屋では、サユリストだった板前がサービスして、グリーンアスパラを小百合にだけ余計に揚げてやった、とか。

 そんな生活の影響か、出なかった声の病気も徐々に回復していく。

 結婚後も、小百合と私の交流は続いた。彼女の一戸建ての自宅にプレゼントを贈ったこともあった。

中平まみ(作家)

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身
4
前世の記憶を持つ少年「僕は神風特攻隊員だった」検証番組に抱いた違和感
5
前田日明「しくじり先生」で語らなかった「最大のしくじり」南アフリカ先住民事件