社会

健康長寿県に学ぶギラギラ中高年の作られ方(1)「長寿食・さるみそ」とは?

 男性でランキングトップだった山梨県は、女性も76.22歳で堂々の3位。前回(13年発表)は男女ともトップだったことを考えると全国一の健康長寿県と言える。その理由を探っていくと──。

「誰でも長生きできる時代になった。とはいえ、ボケずに明るく健康で生きるために必要なのは食です。このたび発表された健康寿命ランキング上位の県、特に山梨県の食は健康長寿の理にかなっています」

 こう語るのは綜合長寿食研究所所長・永山久夫氏である。

 山梨県を代表する食といえば、県民のソウルフードとも言うべき「ほうとう」。小麦粉を練って、うどんの平めんより太くざっくりと切り、野菜と一緒にみそ仕立てで煮込んだ料理だ。名前の由来は諸説あるが、起源は古く、奈良・平安時代の頃、大陸からもたらされたと考えられている。これが戦国時代に京都の高僧から武田信玄に伝承。陣中食、野戦食として用いられ、俗に「武田汁」とも言われている。

「甲州は山国であり、稲作には適さず、灌水の必要のない小麦や大豆、あわ、きび、ひえ、そばなどの雑穀に頼らざるをえなかった。昔から雑穀食が中心になり粉食文化も発達したので、ほうとうも受け入れられたのだろうと思われます。雑穀は栄養価が非常に高い。そして手間もかからず消化もいい」(永山氏)

 甲州では食生活の中心がほうとう。めんを打つことが、昔は嫁入り修業として欠かせなかったほどだが、単なる伝統に終わらないワケは、健康食として実に優れているからだ。

「肉、ねぎ、ごぼう、にら、大根、かぼちゃ、きのこなど、栄養価の高い季節の野菜を鍋で煮て柔らかくなったらみそで味付けをし、最後に生めんを入れる。生めんからとろみが出て熱が閉じ込められ、保温効果も高い。『その人がどのくらい長生きできるかは、その人の食べる野菜の量によって決まる』という言葉があるぐらいですから、ほうとうは長寿食の代表です」(永山氏)

 しかも、健康寿命を高める基礎になっているのが、味付けのみそなのだ。

「みそはタンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含み、リノール酸なども多いので抗酸化作用により、老化を防ぐことができる。また、みその主原料である大豆に含まれるサポニンにはコレステロールの上昇を抑制する効果があると言われています。みそ汁を毎日飲んでいれば、それだけでガンの予防ができ、アルコールやニコチンなどを解毒する必須アミノ酸も含まれているから『みそは医者いらず』と言い伝えられているのです」(永山氏)

 ところで、山での仕事は重労働だ。それでも健康で長寿をもたらしている秘伝の健康みそがあるという。甲斐の山に伝わるもので、その名も“さるみそ”と呼ばれている。

「一種の行者食の“秘伝みそ”を教えてくれたのは100歳に近い山岳修験をされている人でした。これを口にすると、まるで若猿のように元気が出るので、山で生活をする男たちは『さるみそ』と言っている。このみそを口にすると、頭の回転が滑らかになるうえ、疲れもたまりにくくなりスタミナがつくんです」(永山氏)

 もちろん、たちどころにビンビンだろう。永山氏秘伝のレシピも掲載しておいたので、ぜひ試してほしい。

──

「さるみそ」の作り方

〈材料〉生シイタケ、ニンニク、みそ、梅干し、ハチミツ、酒

1.生シイタケをごくごく細く切って、みじん切りにする。これにすりおろしたニンニクとみそ、梅干しの実、ごく少量のハチミツと酒を加えて、よく混ぜ合わせる。

2.フライパンに「1」を入れてトロ火にかけて、じっくりと練り上げたら完成。

 できあがったら、蓋付きの容器などに入れておき、食事ごとに食べる。1回の分量は梅干し1個大。夜、寝る前に、熱湯で溶かしてから飲用してもかまわない。

──

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
2
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
3
「コーチに無断でフォーム改造⇒大失敗」2軍のドン底に沈んだ阪神・湯浅京己のボコボコ地獄
4
フジテレビ・井上清華アナ「治らない顎関節症」と「致死量ストレス」の不穏な関係
5
【大騒動】楽天・田中将大が投げられない!術後「容体不良説」も出た「斎藤佑樹との立場逆転」