社会
Posted on 2018年04月12日 05:55

健康長寿県に学ぶギラギラ中高年の作られ方(1)「長寿食・さるみそ」とは?

2018年04月12日 05:55

 男性でランキングトップだった山梨県は、女性も76.22歳で堂々の3位。前回(13年発表)は男女ともトップだったことを考えると全国一の健康長寿県と言える。その理由を探っていくと──。

「誰でも長生きできる時代になった。とはいえ、ボケずに明るく健康で生きるために必要なのは食です。このたび発表された健康寿命ランキング上位の県、特に山梨県の食は健康長寿の理にかなっています」

 こう語るのは綜合長寿食研究所所長・永山久夫氏である。

 山梨県を代表する食といえば、県民のソウルフードとも言うべき「ほうとう」。小麦粉を練って、うどんの平めんより太くざっくりと切り、野菜と一緒にみそ仕立てで煮込んだ料理だ。名前の由来は諸説あるが、起源は古く、奈良・平安時代の頃、大陸からもたらされたと考えられている。これが戦国時代に京都の高僧から武田信玄に伝承。陣中食、野戦食として用いられ、俗に「武田汁」とも言われている。

「甲州は山国であり、稲作には適さず、灌水の必要のない小麦や大豆、あわ、きび、ひえ、そばなどの雑穀に頼らざるをえなかった。昔から雑穀食が中心になり粉食文化も発達したので、ほうとうも受け入れられたのだろうと思われます。雑穀は栄養価が非常に高い。そして手間もかからず消化もいい」(永山氏)

 甲州では食生活の中心がほうとう。めんを打つことが、昔は嫁入り修業として欠かせなかったほどだが、単なる伝統に終わらないワケは、健康食として実に優れているからだ。

「肉、ねぎ、ごぼう、にら、大根、かぼちゃ、きのこなど、栄養価の高い季節の野菜を鍋で煮て柔らかくなったらみそで味付けをし、最後に生めんを入れる。生めんからとろみが出て熱が閉じ込められ、保温効果も高い。『その人がどのくらい長生きできるかは、その人の食べる野菜の量によって決まる』という言葉があるぐらいですから、ほうとうは長寿食の代表です」(永山氏)

 しかも、健康寿命を高める基礎になっているのが、味付けのみそなのだ。

「みそはタンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含み、リノール酸なども多いので抗酸化作用により、老化を防ぐことができる。また、みその主原料である大豆に含まれるサポニンにはコレステロールの上昇を抑制する効果があると言われています。みそ汁を毎日飲んでいれば、それだけでガンの予防ができ、アルコールやニコチンなどを解毒する必須アミノ酸も含まれているから『みそは医者いらず』と言い伝えられているのです」(永山氏)

 ところで、山での仕事は重労働だ。それでも健康で長寿をもたらしている秘伝の健康みそがあるという。甲斐の山に伝わるもので、その名も“さるみそ”と呼ばれている。

「一種の行者食の“秘伝みそ”を教えてくれたのは100歳に近い山岳修験をされている人でした。これを口にすると、まるで若猿のように元気が出るので、山で生活をする男たちは『さるみそ』と言っている。このみそを口にすると、頭の回転が滑らかになるうえ、疲れもたまりにくくなりスタミナがつくんです」(永山氏)

 もちろん、たちどころにビンビンだろう。永山氏秘伝のレシピも掲載しておいたので、ぜひ試してほしい。

──

「さるみそ」の作り方

〈材料〉生シイタケ、ニンニク、みそ、梅干し、ハチミツ、酒

1.生シイタケをごくごく細く切って、みじん切りにする。これにすりおろしたニンニクとみそ、梅干しの実、ごく少量のハチミツと酒を加えて、よく混ぜ合わせる。

2.フライパンに「1」を入れてトロ火にかけて、じっくりと練り上げたら完成。

 できあがったら、蓋付きの容器などに入れておき、食事ごとに食べる。1回の分量は梅干し1個大。夜、寝る前に、熱湯で溶かしてから飲用してもかまわない。

──

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