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天才テリー伊藤対談「水野雄仁」(3)長嶋さんは本当にスケールが違う!

テリー 逆に、巨人時代につらかったことは?

水野 現役を引退した翌年から3年間、長嶋(茂雄)監督の時代にピッチングコーチをやらせていただいたんですが、その頃は苦しかったですね。

テリー それはまた、どうしてですか?

水野 やはり自分の指導が至らないというんでしょうか、投手陣が打たれるのを見るのが、とにかくつらかったですね。自分で投げて打たれるほうが、よっぽど気が楽でした。

テリー そういう時、水野さんは選手にどういう言葉をかけるんですか?

水野 毎日が葛藤ですね。怒っても選手は困るだけですし、打たれたくて出した結果でないことは、こちらも理解していますから。

テリー そうですよね。

水野 だから、僕は打たれた時は怒りませんでした。怒ったのは、フォアボールの時だけ。

テリー 四球を出すということは、やっぱり自分の気持ちが相手に負けてるっていうことだから?

水野 そういうことです。「打たれたら、自分が全て責任を取る」、そういう気持ちで送り出していましたから。

テリー でも、負けがかさむと、さすがに水野さんのところだけでは抑えられませんよね。そういう時は、監督とどういう話をするんですか?

水野 僕は長嶋監督の最後の3年間だったんですが、当時のボールがまたよく飛ぶものだったので、今より点数が入ったんです。ある日、長嶋監督から「水野、今日うちは何点取ればいい?」と聞かれたので「10点、お願いします」と答えたんですが、その日は10対13で負けて(苦笑)。

テリー アハハハハハ、ひどいじゃないですか。約束どおり10点取ったのに。それは怒られたでしょう?

水野 はい。その頃の長嶋さんは選手を怒ることはありませんでしたが、一緒に1軍投手コーチを務めていた鹿取(義隆)さんと僕は長嶋さんの部屋に呼ばれて「何やってるんだ!」と、さんざん怒られるわけです。

テリー それも仕事のうちですものね、大変だ。

水野 でも、長嶋さんはすごいんです。次の日の朝、サウナで監督とバッタリ会ってしまったんですね。さすがに気まずいので「監督、昨日はすみませんでした」とあらためて謝ると、「うん? 何かあったか?」と返されて。昨夜あんなに怒っていたことを、もう覚えてないんです(笑)。

テリー アハハハハハ、さすがミスターですね。

水野 怒りを引きずらないのにはずいぶん救われましたけど、やっぱり3年間は大変で、命が縮むかと思いました。それだけに、00年にON決戦で日本一になった時は、本当にうれしかったですね。その時は、長嶋さんに新橋にある京都料理のお店に連れて行ってもらって、松茸のフルコースをふるまってもらったんです。

テリー 僕、その優勝で胴上げされた時のユニホームをいただいたんですよ。

水野 それはすごい、貴重ですね。確かに、僕なんかも長嶋さんが同じスーツを着ているところ、見たことないですよ。毎日着るものが違いますから。そんなふうに一事が万事、やることのスケールが違って、本当に憧れの存在です。

テリー ミスターには、20世紀の最後と21世紀の最初に巨人を日本一にする、という夢があったんですよね。できれば、かなえてほしかったなァ。

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