社会
Posted on 2018年09月12日 12:55

ガッツ石松のOK偉人牧場<ニッポンの軍人>(4)身分を隠して農村を回ると…

2018年09月12日 12:55

 日露戦争の頃の日本軍のリーダー、海軍の東郷平八郎さん、陸軍の乃木希典さんは、五十六さんや東条さんみたいに学校で軍務を勉強して軍人になったエリートとは、そもそもの資質が違ったね。幕末上がりで、叩き上げの武士の魂を持ってる軍人。「文武両道」も兼ね備えたリーダーだな。

 なんといっても東郷さんは日本海海戦で、当時世界一強いと言われたロシアのバルチック艦隊を倒したんだからね。ボクシングでいえば、ヘビー級の最強チャンピオンに無名選手が勝ったようなもんじゃないの。T字戦法だかTバック戦法だかいうやつで、相手の意表を突いたわけだから。

 戦い方っつーのは大事なんだよ。俺は現役の頃、ヘビー級の選手とスパーリングやったって、俺のほうが強かったからね。デカいのとやる時は相手の懐に潜り込んでバシバシバシと打って、逃げてはまた、潜り込んで打って。そうすると腕が伸びないから、強いパンチを打てないでしょ。正面切って戦ったら分が悪いけど、戦い方を知ってれば、どんな相手にも勝てる。東郷さんになぜそういう戦い方ができたかといえば、やっぱり幕末から明治維新を戦い抜いた経験が生かされたわけだね。乃木さんにしても、難攻不落のロシアの旅順要塞を攻め落とせたのは経験と、あとは武士としての不屈の精神力だろうね。

 そういえば、乃木さんにはこんな逸話がある。ある時、自分の身分を隠して農村を見て回ってる時に、農民からこう言われた。

「軍人さん、聞いてくれよ。乃木っていう隊長さんは悪い人だ。うちの息子が戦争に連れていかれて、敵に殺されちゃった」

 それを聞いた乃木さんは、

「そうですか。それは本当に悪い隊長ですねぇ」

 農民に同情したっていうんだな。乃木さん自身も日露戦争で2人の息子を戦死させてるのに、農民の文句を黙って聞いてあげた。それが人格者っつーもんだな。なかなかできることじゃない。最期は明治天皇崩御とともに、腹切って自決した。部下を戦争で死なせてしまった負い目がずっとあったんだな。だから最後は自決することで、トップとしての責任を全うした。

 武士なりの責任の取り方だね。切腹は「言い訳はいらない」という日本独特の伝統文化というか、美学みたいなもんだな。まさにリーダーですよ。東郷さんも乃木さんも、偉人牧場入りOK!

 だけど一方では、五十六さんや東条さんみたいな軍人がいたことで日本がアメリカに負けて、今の豊かな時代があるわけだから、「人間万事塞翁が馬」なんだよね。何がどこで幸いするかわからない。結局、振り返ってみればOK牧場! それが歴史っつーもんなんじゃないのかな。

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