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記事全文を読む→伝説の「平成・春のセンバツ対決」鳴門、2試合連続延長サヨナラの古豪パワー!
今年の選抜は準々決勝の第1試合で市立和歌山(和歌山)と習志野(千葉)が対戦するなど公立校の活躍が目立ったが、過去の選抜では2試合連続で延長戦を戦い、2試合ともサヨナラ勝ちしたという公立校のミラクルチームがある。2012年第84回大会に出場した鳴門(徳島)だ。
この年の鳴門は初戦で21世紀枠の洲本(兵庫)と対戦。1‐1の同点で延長戦に突入すると10回裏に1死2塁のチャンスをつかみ、ここで1番・河野祐斗が左中間突破のサヨナラ適時打を放ち、劇的勝利で初戦を突破。その勢いで臨んだ2回戦で、北関東の名門・作新学院(栃木)と対戦することに。試合は鳴門が1回裏に1死満塁から5番・大和平の遊ゴロの間に1点を先制。対する作新も4回表に1死二、三塁から6番・布瀬恭平の中犠飛で1‐1の同点に。試合は序盤、互角の展開で進んでいった。
次に試合が動いたのは6回裏。1死から鳴門は3番・稲岡賢太が左前打で出塁すると、作新ベンチは先発の左腕・筒井茂から右の水沼和希にスイッチ。だが、これが裏目に出る。鳴門打線は水沼を攻めて5番の大和以下3連打。この回、2点を勝ち越したのである。
2点を追う展開となった作新は7回からエース・大谷樹弘をマウンドへ送る。そしてこの大谷が、攻撃のリズムを呼び込むかのような気合い十分のピッチングで鳴門打線を抑えると、その投球に作新打線がすぐさま応えた。8回表に2本のヒットと四球で無死満塁とすると、5番・山下勇斗が中犠飛を放ち、まず1点。さらに6番・布瀬が適時二塁打で続き、同点に追いついたのだ。なおも1死二、三塁と一打逆転のチャンス。ここで作新ベンチは7番の高嶋翔真にスクイズのサインを出すが、これがキャッチャーへの小飛球となり、痛恨の併殺。そのまま試合は3‐3の同点で延長戦へと突入することに。
それでも迎えた10回表。作新は4番・高山良介の左越本塁打で1点を勝ち越し。これで勝負あったかと思われたがその10回裏、鳴門は1死を取られたものの、そこから反撃を開始する。まず3番・稲岡が遊失で出塁すると、4番・杉本京太が中前打で続き、さらに代打に起用された郡俊毅が死球を受け、満塁に。6番・松本高徳は三振に倒れたものの、鳴門の勢いは完全に作新を飲み込んでいた。ここで7番の日下大輝が打った打球はやや前進気味の守備位置を取っていたレフト・羽石裕紀の頭上を襲った。背走しながら懸命に手を伸ばす羽石。しかし、キャッチしきれずに打球はその羽石のグラブの先を超えていったのである。鳴門、奇跡の逆転サヨナラ勝ちであった。
この鳴門の2試合連続延長戦サヨナラ勝ちは、春の選抜史上では唯一の快挙。続く準々決勝の健大高崎(群馬)戦でも後攻めを選択し、3試合連続のミラクルを狙ったが、1‐9で力尽きてしまった。とはいえ,この鳴門は戦後まもない51年の第23回選抜優勝校で、徳島県を代表する名門でもある。が、そんな名門も選抜では70年の第42回大会を最後に勝利から見放されていた。そんな苦境が続いた中での2試合連続のミラクル劇。みごとな古豪復活であった。
(高校野球評論家・上杉純也)=文中敬称略=
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