芸能
Posted on 2013年03月19日 10:00

女優・大原麗子の情念、野生的な麗子が魅力的だった

2013年03月19日 10:00

 65年に東映の専属となった麗子は、端役ながら多くの撮影をこなした。高倉健の「網走番外地」シリーズや、梅宮辰夫の「不良番長」シリーズにも何度か顔を出している。

 映画監督の内藤誠は「網走」ではチーフ助監督として、「番長」では監督として若き日の麗子と向き合っている。特に「網走」は長期の北海道ロケとなるため、会話する機会も多かった。

「麗子から『野獣会』の話を聞いて、いかにも六本木で遊んできた都会的なカッコよさと、撮影所の皆が口をそろえる元気のよさが魅力だったよね」

 麗子から5年遅れて東映に入社した渡瀬恒彦は、内藤の映画にも何度となく出演している。麗子が出演した「不良番長 手八丁口八丁」(71年)の撮影時は、すでに2人は「結婚前提」の仲になっていた。

 後年、内藤は梅宮から渡瀬の武勇伝を聞く。

「六本木で梅宮や渡瀬、麗子や安岡力也が連れ立って飲んでいたんですよ。すると麗子にちょっかいを出そうとしたサラリーマンがいて、すぐに渡瀬が“助け”を出したと」

 また麗子も「野獣会」の出身らしく、ケンカの場面になると気勢が上がったと梅宮が語っている。

「ほら、力也、後ろから蹴っちゃいな!」

 やがて麗子はドラマに比重を移し、こうした無頼な日々とは一変した役柄が増えてゆく。内藤もテレビ局ですれ違うことはあったが、お互いの方向性が違うため「元気?」の一言くらいしか会話がない。

「カツラをつけて大河の主役をやるようになったけど、僕の中では『不良番長』でワイワイとやっていた麗子が、一番いい時期だったと胸を張って言えるよ」

 73年に渡瀬と結婚した麗子は、75年に「10万人に1人」と言われるギラン・バレー症候群を発症する。重度の神経疾患であり、体のバランスを崩して転倒したり、骨折してしまうことも多かった。

 TBSの演出家として麗子の代表作をいくつも手掛けた鴨下信一は、思いがけない形で麗子と「接点」を持つ。

「僕も偶然だけど99年にギラン・バレーにかかっちゃった。かなり症状が重くて、呼吸器の切開までやったほど。その入院先に麗子ちゃんが見舞いに来てくれたんだよね」

 同じ病気の“先輩”として、麗子は気にかけてくれたのだろう。やがて鴨下は無事に一線に復帰するが、それと前後して麗子が「ギラン・バレーの再発」を理由に、女優の活動を休止している。

 ただし、これに鴨下は異を唱えた。

「この病気に再発ということはない。もちろん、後遺症が残ることはあるが、病気そのものがぶり返すということはないんです」

どこか“暗示”のような形で、麗子はみずから逃げ場をふさいでしまったのかもしれない。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/6/24発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク