社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<百日咳>「子供の病気が成人に流行する理由」

 小児の疾患が中心の「百日咳」をご存じだろうか。「百日咳菌」という細菌の感染によって起こり、名前のとおり咳が長く続くのが特徴だ。飛沫感染や接触感染により、1週間程度の潜伏期間を経て発症する。

 国立感染症研究所が8月13日に発表したデータによると、今年の「百日咳」累計報告患者数は1万110人に到達。そのうち約3割が成人であることが確認された。

 なぜ大人に増えているかというと、百日咳の予防はワクチン接種のみだが、免疫効果は4~12年で弱まる。乳幼児の罹患率が低下している一方で、免疫が弱まった大人に再流行しているのだ。

 百日咳は風邪と見分けることが難しい。典型的な症状は3つの段階に分けられる。

 まず風邪のような咳やくしゃみが2週間程度続く(カタル期)。その後、コンコンという発作性の激しい咳が連続して2~3週間続く(痙咳期/けいがいき)。しだいに2~3週間程度でおさまってくる(回復期)。

 ただし、これは子供に多い典型的な症状で、大人の場合は咳だけが長く続き、発作的な症状がないことも多いため気づきにくいという。

 咳喘息とも似ている百日咳は、咳の音の違いも見分ける際のポイントになる。喘息の場合は、息を吐く時にヒューヒューゼイゼイいうのに対し、百日咳の場合、息を吸う時にヒューという笛の音のような音が出る。

 診断方法には、菌培養、血清学的検査、遺伝的検査があるが、菌はカタル期後半に検出されることが多いため、医療機関を受診する際には日数がたち、検出できないことも多い。

 治療法は、マクロライド系抗菌薬が用いられるほか、咳の発作には鎮咳去痰剤などが用いられる。

 大人の場合は重症化しにくいとはいえ、大人から子供への感染も深刻な問題となっているため、医療機関の早めの受診をおすすめする。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    中年リスナーがこぞって閲覧!“あざとかわいい”人気美女ライバーが、リスナーとの関係や仲良くなれるコツを指南

    Sponsored

    ここ数年来、ネット上の新たなエンタメとして注目されている「ライブ配信」だが、昨今は「ふわっち」の人気が爆上がり中だ。その人気の秘密は、事務所に所属しているアイドルでもなく、キャバ嬢のような“プロ”でもなく、一般の美女配信者と気軽に会話できて…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    配信者との恋愛はアリ? 既婚者が楽しむのはナシ? 美女ライバーと覆面リスナーが語る「ふわっち」セキララトーク

    Sponsored

    ヒマな時間に誰もが楽しめるエンタメとして知られるライブ配信アプリ。中でも「可愛い素人ライバー」と裏表のない会話ができ、30代~40代の支持を集めているのが「ふわっち」だ。今回「アサ芸プラス」では、配信者とリスナーがどのようにコミュニケーショ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    加工に疲れた!?「証明写真」「写ルンです」の「盛らない」写真の人気事情

    SNSに投稿する写真は加工アプリを使って「盛る」ことが当たり前になっているが、今、徳にZ世代の間では「あえて盛らない」写真を撮影し投稿することがブームとなっている。いったい若者たちにどんな心境の変化があったのか。ITライターが語る。「盛らな…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
【阪神】金本監督時代に野球人生が狂った戦力外・髙山俊と北條史也の「不運」
2
楽天・安楽のハラスメント疑惑を「胸クソ悪い」「アウトだな」バッサリ切ったOBの逆鱗
3
巨人を辞めた元木大介に「ヘッドコーチ就任オファー」を出したのはあの「宇宙人監督の球団」か
4
【消息不明】TBS野村彩也子アナ「ラスト出演映像」に指摘される「明らかな違和感」
5
楽天球団「身売り説」再び!乏しい戦力でも補強の余裕なし…安楽智大の「パワハラ騒動」が拍車をかける