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記事全文を読む→池上彰「TPP参加後の庶民生活」超解説(3)世界市場統一ルールの損得
今回の場合はコメと、麦と、豚肉、牛肉、そして乳製品は例外として認めてもらうと日本が言っています。乳製品はオーストラリア、ニュージーランドは日本に輸出したいわけですから認められるかどうかわかりません。でも少なくともコメは認めてくれそうな雰囲気です。ところがアメリカの自動車業界も、だったら自分もと言いだしたんです。TPPで、日本は非課税で日本車をアメリカに輸出できるはずだったんですが、日本がコメを特例とするならアメリカは自動車をという話になってしまった。日本はTPPの11カ国への輸出で、関税だけで1400億円払っている。その大半が自動車なんです。
──アメリカとの事前交渉では日本のコメは守られる方向にあるようです‥‥。
ということになれば、日本はTPPに参加してどういうメリットがあるのかということになってしまうわけですよ。
つまり、コメを聖域化すればスーパーに米国産の安いコメは並ばないし、牛丼チェーンだってコメを安く仕入れられないんですよ。
──他の食品はどうでしょう?
例えば大豆食品では、遺伝子組み換えのものも関係なく輸入しろという話になるかもしれません。日本は原産地表記など含めてかなり厳しい食品安全審査をしています。ところが、アメリカの商品は遺伝子組み換え作物を使っていますし、わざわざ遺伝子組み換えです、なんて表記はされていません。TPPではこうした食品表記も全部同じルールに統一しようということですから、アメリカのように簡略化されたり、あるいは「遺伝子組み換え作物を使っていないという表記はやめろ」と言われたりする可能性はあります。
──今は、お店で遺伝子組み換え食品かどうかを選べますが‥‥。
今後は選べなくなる、あるいは選びにくくなる可能性はありますね。最近、厚生労働省がBSEの全頭検査をやめる方針を打ち出しましたが、これもTPPをにらんでの話でしょう。全頭検査はBSEの原因と見られる異常なプリオンの出た牛を市場に出回らせないためのチェック体制ですが、実は生後20カ月まではプリオンは検出されない。つまりやっても意味がないことをしているんです。
──検査していると聞くと安心しますが‥‥。
でしょ、日本人は安全より安心を買っているんです。それに、今回やめようとなった時に、全国の自治体からは「ウチだけやめると風評被害にあう。やめるのなら一斉じゃないと」との声が出ていたんです。
──赤信号、みんなで渡れば、みたいな。
ハッハッハ、いかにも日本的でしょ。日本がこれまで海外に食品を輸出する場合には現地のルールに向けて表記を作り変える必要があったわけですが、統一となれば生産コストは安くなる、というプラスの側面だってあるわけです。
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