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記事全文を読む→弘兼憲史「“島耕作流”ニッポン経営サバイバル」(8)「選択と集中」こそが必要
それはこれから日本メーカーの主戦場となる「白物家電」でもそうです。洗濯機や冷蔵庫の技術はもはや行きつくところまで行っている。よく家電の未来としてスマホの操作で外出先から洗濯ができるなんて「ユビキタス」が語られますが、ASEANの人々はサムスンのような「おしゃれで安い製品」を求めている。つまり日本製品は、明らかにオーバースペックなのです。
かつて日本ビクターなどは、「コンサートホールのような臨場感」をうたい文句にした「4チャンネルステレオ」を造ったが、ユーザーに響かず、市場から消えた。家電メーカーが力を入れている3Dテレビもオーバースペックという声が上がっている。
それは日本の場合、ある意味で「技術力」というものを過信しているからではないでしょうか。もちろん、「技術力」を捨て去るようなことは賛成しません。絶対になくてはならないものですが、家電メーカーの復活には、これまでのような技術でのイノベーションではなく、「経営のイノベーション」こそが必要だと考えています。
では、具体的に何かというと、やはり「選択と集中」です。
これでみごとに転身したのがノキアです。今でこそ、世界市場のシェア30%を占める携帯電話メーカーですが、90年代は複合企業でコンピュータやデバイス(部品)も造っていました。それを経営者が、ぜい肉を削ぎ落とし、専業メーカーになるという道を選びました。冒頭の米家電メーカー「VIZIO」の本社はわずか2フロアしかなく、きわめてコンパクトな経営で大きな利益を生み出していると言われています。
この対極に位置するのが、日本家電メーカーの垂直統合方式だ。松下電器もしかりだが、部品の製造から最終製品の組み立て、全ての工程を自社内で完結する。これが「ジャパン・クオリティ」を担保していたと言っても過言ではない。その象徴が、先日経営破綻が伝えられた半導体大手ルネサスエレクトロニクスだ。同社は、NECや三菱電機という国内電機メーカーが出資して設立されたいわば、垂直統合方式の申し子と言える。
現状、アベノミクスは有効に働いており、1ドル100円時代が到来すればこれは輸出企業には有利です。国内から工場が撤退して雇用が確保できないという意見もありますが、私は強い企業はより強くなったほうが雇用は生まれると思っています。事実、経団連の次期会長の呼び声も高い坂根(正弘)さんは、社内に「勝ち組」と「負け組」を作って、「負け組」の事業者商品から撤退し、「勝ち組」に特化するという手法で業績をあげてきました。
これと同じで、強い大企業が現れると雇用も創出できるし、負け組であぶれた企業の雇用も吸収できます。
今の“追い風”を逃さず、従来のような日本型経営に捉われないイノベーションを遂げられた時、本当の意味で日本の家電メーカーは「復活」を果たすのではないでしょうか。
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