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一部で引退説も出ているが、
「よほど発表された以上に重症で、秋も走れないのではないか、という状態であれば引退の可能性もありますが、そうでなければ、早々に引退発表をしても(年明けの)種付けシーズンまで何カ月もただ待っていることになり、メリットはありません。陣営からも引退の話は出ていません」(前出・平松氏)
それもそのはず、やはり昨年の凱旋門賞のリベンジに、そして同じく池江厩舎から06年に出走してドーピング失格(3位入線)となったディープインパクトの敵討ちにと、池江師が静かに燃えているからだ。もし凱旋門賞を勝てば大きなハクが付き、種牡馬としての価値が上がることは確実である。
肺出血直後、6月15日の東京競馬場。池江厩舎のタイキプレミアムという馬が出走し、2着だった。平松氏が続ける。
「レース後に池江師が調教師席から下りてきましたが、首をかしげ、ガクッとした表情でした。僕が『2着、残念でしたね』と声をかけると『大丈夫、凱旋門に行くから』と返ってきました」
ただ、三冠を獲った馬が、昨年から迷路にハマっているのは事実。阪神大賞典での逸走、天皇賞・春で不可解な11着大惨敗、そして凱旋門賞とジャパンカップはどちらも2着と勝ちきれず。GIを獲ったのは昨年の宝塚記念だけである。
「凱旋門賞出走となれば、種牡馬としての価値を高めるために、今回は勝たなければ意味がありません。100%勝つことが義務づけられていると言っていい。海外遠征には莫大な経費がかかります。輸送費、現地で厩舎を間借りし、装蹄師(ひづめを削ったりする人)を雇い、飼い葉や水も持っていく。それを毎週、定期的に送るわけです。ある調教師に聞くと、1カ月の滞在で2000万円かかるとか。それだけ金をかけて元が取れる自信がないと行ってもしかたがない」(前出・トレセン関係者)
肺出血から放牧休養を経ての完全復活が絶対条件なのである。
だが、凱旋門賞以外にも別の道があるという。
「ウルトラCとしては、アメリカのブリーダーズカップ(11月1日、2日)に出ることでしょう」
こう話すのは、前出の平松氏である。ブリーダーズカップは、2日間にわたり14ものレースが開催される国際レース。90年以上の歴史を誇る凱旋門賞に比べればまだ約30年と浅いが、
「賞金的には世界トップクラスで、競馬イベントとしても世界一と言っていい。凱旋門賞が世界一を決めるレースとの認識がありますが、集まるのはヨーロッパの馬ばかり。ブリーダーズカップには世界中の馬が集まってくるため、真の世界最高峰はこのレースだと思います」(前出・平松氏)
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