突然の緊急入院の報道は、多くの歌手仲間にも衝撃を与えた。中でも“兄弟”と呼び合う間柄の山本譲二(63)は、吉の入院直後にみずからのブログでこう心情を吐露している。
〈お前が元気じゃないと、俺の人生は無に等しいのだから。頑張ってくれ、吉幾三! 俺の親友へ〉(山本譲二オフィシャルブログ ぶち好きやけー 2月24日付より)
このブログを読んだ吉は涙が止まらなかった。
「山本譲二とは、入院前まではよく飲みに行っていたんだけど、最近は僕から誘っても『食事はつきあうけど、飲みはつきあわないぞ』と言われましたよ(笑)」
その人なつっこい性格ゆえ、芸能界でも幅広い交友関係を誇る吉だが、今回の闘病で、何よりも「人の情け」に感謝することが多かったという。
「千昌夫さん(66)と最近、食事をしたんだけど、女房の前で『タバコも酒もやめろ、自分のことをもっと大事にしろ』と説教されてね。久しぶりに怒られましたよ(笑)。川中美幸ちゃん(57)は今も時々『大丈夫? (お酒)飲んでない? 飲んじゃダメだよ』と電話が来る。みんなに心配をかけて、メッセージをもらって‥‥ありがたいと涙が出た。思い出すと胸が熱くなる」
これまで健康についてはほとんど顧みることがなかったというが、大病の経験を経て、ライフスタイルも大きく変わったという。
「(病気をする以前は)移動はほとんど車ばかり。子供の運動会ですら走ったことがなかった。それが最近はウオーキングするようになって、毎朝1万歩歩いている。地方公演の時でもホテルの周辺を必ず歩くようにしていますよ。そうすると今まで見えてこなかったモノや景色が見えるようになってね。ああ、ここにこんな店があったんだとかね。神社仏閣があると、ちょっと立ち寄ったりして『家族やスタッフ、私に関わる全ての人が元気でありますように』とお参りしたりね。自然と感謝の言葉ができてきますよ」
病を経て、これまで仕事中心の生活から、家族との時間をとても大事にするようになったという。
「忙しいかもしれないけど、朝1杯のコーヒーの時間だけでも作るとか。僕も言えた義理じゃないけど、病気のあとは家族との時間が大幅に増えたよ。思えば僕は人生の節目によく病気をした。デビュー20周年には肺炎で入院したし、35周年の前には肝炎も患った。その時に支えてくれたのが家族だった」
家族のありがたみをしみじみかみしめるのだ。