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「うちはかーちゃんが、そういうたぐいの本は一切読ませてくれなかったね。小説も『そんなもの読んだら不良になる』って言ってダメだったから」
以前、とあるインタビューで「たけしさんは子供の頃、どんな漫画を読んでたんですか?」といった質問をされ、殿はこう答えていました。で、漫画や小説といった“物語にハマる”経験をすることなく大人になった殿は当然、テレビドラマもまったく見ません。
しかしながら3カ月程前から、ネットフリックスで海外ドラマをよく見るようになり、今では、
「気が付いたら一気に6話ぐらい見てる時あるな」
と、かなりのハマりぶりです。ちなみに「マーズ 火星移住計画」というドラマが大変面白かったと、絶賛していました。
そんな殿がつい先日、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」出演中、CMで流れたドラマ「半沢直樹」の番宣を目にした時、おもむろに、
「今のドラマなんか見てると、カット割りがもうじゃんじゃん漫画的になってるな。まーだけど、映画もそうだけど、ドラマだって何だって、漫画からカット割りを勉強したほうがいいかもしんねーな。漫画は必要な絵コンテでできてるから、これから映画を撮ろうなんて思う子は、漫画から勉強するのがいちばん早いかもしんねーな」
と、映画監督・北野武として、さらっと“映像関係を目指す若者へ”といった、かなり具体的なグッドアドバイスを、横にいたわたくしの目を見ながらしてくれたのです。ただ残念なのは、直接世界的映画監督からアドバイスを聞いたわたくしが今後、映像の世界で何か物語を構築する予定も才能もまったくないということ。実にもったいない。
それはさておき、殿の“映像制作論”を聞いたわたくしは、以前に殿が今はなき「週刊テーミス」で連載していた映画評の中で、めずらしく絶賛していたある作品に対する発言を思い出していました。
「とにかく面白かったね。この『ワイルド・アット・ハート』は。D・リンチは観るのは初めてで、他の映画も観たくなったよ」
で、この発言について以前、わたくしが「殿は昔、D・リンチの『ワイルド・アット・ハート』をいたく褒めてましたよね」と、酒席の場で聞いてみると、
「おう、D・リンチはカットが漫画的でおもしれーんだよな。話と関係ないカットも意味なく入ってくるしよ。観ててあきねーんだよ」
と、実に丁寧に答えてくれたことがありました。
話を「ニュースキャスター」CM中の殿に戻しましょう。横にいたわたくしなどに“もったいない助言”をしてくれると続けて、
「だけどいろいろ観てると、実につまんねー映画も結構あるな。こないだテレビで見た『○○○』なんてひどかったぞ。あんなの観て喜んでるヤツがいると思うと、腹立つな!」
と、いらぬ想像を働かせては、一人勝手に憤慨する殿なのでした。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!
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