芸能

追悼・渡哲也「78歳壮絶死」までの「逆境無頼」56年(3)敬愛する高倉健からの叱責

 一方で、渡の人生には常に病魔がつきまとった。

 日下部プロデューサーの「仁義なき戦い」の申し出は体調不良を理由に固辞し、菅原文太の出世作となる。渡は主演ドラマ「忍法かげろう斬り」(72年、フジテレビ系)も途中降板し、弟の渡瀬恒彦が代役を務めた。渡瀬のほうが先に世を去ってしまったが、12年の週刊アサヒ芸能のインタビューでは、貴重な談話を残している。

「兄とは仕事の話はほとんどしないので『仁義なき戦い』の話は知りませんでした。ただ、兄は俳優として大河ドラマの降板など、ついていない面は多々あったかもしれません」

 渡瀬が言うように、74年にはNHK大河ドラマ「勝海舟」の主演に抜擢されるも、肋膜炎により第9話をもって降板。入院生活は9カ月に及び、代役は松方弘樹が務めた。映画関係者が回想する。

「この当時、渡が敬愛する高倉健から『体をちゃんと鍛えろ!』と叱責されたこともあります。が、ようやく東映で初主演を飾った『仁義の墓場』(75年)は病み上がりだったため、点滴を打ちながらの撮影に‥‥」

 結果的にその異様な迫力が、高い評価を得ることとなる。

「仁義の墓場」公開後には膠原病での入院を余儀なくされた。

 76年以降、体調は回復し、ドラマだけでなく歌でも獅子奮迅の活躍を見せた。ヒット曲のひとつに「みちづれ」(75年)があるが、渡と縁の深い牧村三枝子がカバーを申し出る。渡はこれを快諾しただけでなく、自身は歌わないと封印。結果、牧村版「みちづれ」は100万枚近い売り上げを記録。牧村は終生の恩人として、渡に感謝している。

 ところが91年、またしても渡に逆境が訪れる。直腸ガンを公表し、直腸を25センチ切り取る手術を受けるが、泣く泣く人工肛門を装着することに。97年には早期の大腸ガンが発見され、内視鏡手術を受けた。

「その後も、15年には急性心筋梗塞で緊急入院。肺気腫と呼吸器疾患という長年の持病とも闘い、晩年は運動もままならない状態でした」(スポーツ紙デスク)

 先頃、来年1月16日をもって石原プロが解散することが発表されたばかり。裕次郎から引き継いだ軍団を守り続けた義理と人情の男は大仕事を終え、旅立った。

 渡の死に際し、石原プロの中興の祖となった舘ひろしは、あまりのショックでコメントも出せなかった。舘もまた、渡への尊敬と憧れから、83年に石原プロ入社を決めている。12年に石原プロ創立50周年を記念したDVDボックスの発売イベントでは、渡と舘がうれしそうにショットガンを決める姿が印象的であった。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
JR東日本に続いて西と四国も!「列車内映像」使用NG拡大で「バスVS鉄道旅」番組はもう作れなくなる
2
【ボクシング】井上尚弥「3階級4団体統一は可能なのか」に畑山隆則の見解は「ヤバイんじゃないか」
3
これはアキレ返る!「水ダウ」手抜き企画は放送事故級の目に余るヒドさだった
4
舟木一夫「2年待ってくれと息子と約束した」/テリー伊藤対談(3)
5
決別必至!「立浪監督VS中田翔」中日ドラゴンズ冷戦勃発「我慢の限界」発火点