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記事全文を読む→歴代総理の胆力「安倍晋三(第2次)」(3)菅官房長官との亀裂が生じた理由
元号が「平成」から「令和」に変わった慶事の一方で、その令和元年(2019年)は、「1強」として長期政権を敷いた安倍晋三政権の曲がり角が待っているという皮肉な年であった。
安倍総理はこの年11月20日で総理通算在位日数2886日となり、桂太郎総理のそれを超えた一方で、去る8月24日でそれまでの佐藤栄作総理の連続在職日数記録を超えている。
しかし、令和元年7月の参院選後の9月の改造人事を境に、それまで「官邸主導」のリーダーシップを発揮し続けていた政権の様態に初めて異変が生じた。安倍と肩を組んできた「人」の離反が大きな理由で、とりわけ注目されたのが安倍と「盟友」視もされた菅義偉官房長官との確執であった。
このときの改造人事で、菅は自らに近い菅原一秀、河井克行の2衆院議員を閣僚に推薦、安倍もそれを呑んだのだが、間もなくこの両人に「政治とカネ」のスキャンダルが発覚、両人は辞任に追い込まれた。法相だった河井は、のちに公選法違反で逮捕、起訴されることになる。
こうしたことは、安倍からすれば、菅に対して「折角、入閣を呑んだのに、オレの足を引っ張るのか」ともなり、以後、両者の間に“しこり”が出始めたのだった。その後、新型コロナウイルス問題が発生しても、官房長官として危機管理の前面に立つべきところに菅の出番はなく、コロナ対応への主軸閣僚は西村康稔経済再生相が担うということになった。菅にとってはメンツが潰れた形となり、安倍との間の距離は、コロナ問題を契機にさらに広がったと言えた。
こうして官邸で政権を支えた屋台骨の一角が崩壊した一方で、安倍が同じ改造人事で幹事長の交代を視野に入れたことで二階俊博幹事長も反発した。以後、結局は留任となった二階は安倍と上手に距離を取りながらも、菅官房長官と急接近を図るようになったのだった。二階とすれば、「衆参の国政選挙で連戦連勝の指揮を執ったのはオレだ。それが、なぜ交代か。クビを切るなら切ればいい」といったところである。安倍が「4選」を目指したいなら党をまとめるオレの存在意義が分からないのかとの自負が強い。安倍は、結局はクビを切れなかったものだった。
しかし、今春のコロナの緊急事態宣言、それに伴う経済対策の給付金問題でも、安倍は、当初、減収世帯へは「条件付き1世帯30万円給付」と閣議決定までしたものの、与党を組む公明党を先頭に、野党、自民党の一部が断固反対の論陣を張り、結局は「条件なし国民一人10万円給付」として閣議決定のやり直し、補正予算案の組み替えといった政権にとっては大失態に追い込まれた。二階も菅も、公明党との太いパイプが知られ、ここでは公明党のうしろに控える両者の影が云々されたものであった。
■安倍晋三の略歴
昭和29(1954)年9月21日、東京都渋谷区生まれ(本籍地は山口県)。神戸製鋼所入社後、父親の安倍晋太郎外相の秘書官。平成5(1993)年7月、衆議院議員初当選。平成18(2006)年9月、第一次内閣組織。「再登板」は吉田茂以来64年ぶり。
総理大臣歴:第96代 2012年12月26日~
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。
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