芸能

歌舞伎役者に転身 香川照之VS実父・市川猿之助「愛憎45年」 「初対面で『息子ではない』と一蹴されていた」

 俳優の香川照之(45)が来年6月の新橋演舞場公演に歌舞伎役者として出演することが発表された。それに伴い、香川は9代目市川中車を襲名。長男の政明君(7)は5代目市川団子を、香川にとって従兄弟でもある市川亀治郎(35)は4代目市川猿之助を名乗ることとなった。また、香川の実父である3代目市川猿之助(71)は2代目猿翁を襲名することも、あわせて発表されたのだ。
 大河ドラマや映画などで引っ張りだこの実力派俳優の突然の決意の裏に何があったのだろうか。

 芸能関係者が言う。
「香川は、市川猿之助と女優の浜木綿子の長男で本来なら猿之助の名跡を継ぐことが既定路線だった。ところが、香川が1歳の時に、両親が離婚し、その後は母の浜に育てられました。東大卒業後に俳優でデビュー。しかし、父とは絶縁状態で、梨園に足を踏み入れることはなかった」
 梨園の名門の遺伝子を受け継ぐ香川は俳優を選んだあと、これまで絶縁状態だった父の猿之助と接触を試みるようになった。芸能界入りから2年後の91年、香川は、ようやく父との対面を果たした。しかし、当時、「スーパー歌舞伎」で〝歌舞伎界の革命児〟として、異彩を放っていた猿之助は、実の息子に冷たく言い放った。「あなたは息子ではない」「二度と会うことはない」と親子の溝が埋まることはなかった。
 こうした父子の関係に修復の道筋をつけたのが、その後、猿之助と再婚し、2年前に亡くなった日本舞踊家の藤間紫(享年85)だったという。
「香川に長男が生まれた04年頃、藤間さんが猿之助と香川が会う機会を設けて、空白の時間を埋める手助けをした。そこから、少しずつ父、子、孫として過ごす時間が増えていったんです」(梨園関係者)
 猿之助と藤間は、幼少の頃から日舞を通じて親しくしていた間柄。日本舞踊の第一人者として猿之助も一目置くほどで、いわば同志のような関係だった。
 それだけに、浜の猿之助らに対する愛憎は極限に達し、香川は2人の〝母親〟の間で葛藤を続けていたと言えよう。
 そうした複雑な愛憎関係に変化が起きたのは、猿之助が03年に脳梗塞を発症してからだった。後遺症で不自由な生活を余儀なくされた猿之助が最後に頼ったのは、他ならぬ息子の香川だったのである。
 芸能記者が語る。
「息子の香川は、梨園への未練もさることながら、歌舞伎界の金看板である父親の猿之助の病状を誰よりも心配した。猿之助もこれまでのこだわりを氷解させ、記者会見では、香川から『今春から父とともに3世代で同居している』と、父子関係の事実上の和解を表明する発言も出ました」
 久々に、猿之助が公の席に姿を見せた記者会見は、45年に及ぶ愛憎ドラマのクライマックスという趣と化したのだった。

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