芸能
Posted on 2021年01月10日 17:57

<歌手生活50周年・特別インタビュー>八代亜紀「私が歩んだ昭和炎歌」(2)銀座クラブ時代はモテモテ

2021年01月10日 17:57

──歌手を目指した上京後の生活も波瀾万丈だったと思います。

八代 音楽学校に行って、グループサウンズのボーカリストとして歌ったけど、お給料がなくて学費を稼がなきゃいけない。それでスカウトされて、銀座のクラブで歌うことになるんです。その頃はルンルン、モテモテで、楽しかったですよ。スカウトマン5、6人に追いかけ回され、キャーキャー言いながら(笑)。

 銀座のクラブシンガー時代は4年間。ツテができて八代亜紀の名前で歌手デビューしたけど、それからが売れなくて。2年間は今日は福島、明日は富山、長崎と全国を回るキャンペーンの日々が続きました。移動するためにトランクを抱え、誰も乗っていないガラガラの始発電車に乗ったことがあるんです。疲れていて、両サイドにバッグを置いて泥のように眠ってしまったの。気がついたら、電車はもう超満員なのに、私が何人分も独り占めしているわけ。それでも誰も「どけ!」って言わないんです。「なみだ恋」(73年)が大ヒットしてから5年目くらいかしら。こんな手紙が来たんです。「何年か前、トランクを抱えて電車の中で泥のように眠っている女の子がいました。『疲れているんだから寝かせておいてあげよう』とみんなで言っていたんですよ。あの女の子は八代亜紀さんだったんじゃないでしょうか」って。昔は人の情があったんですね。今はそれが薄れて、詐欺とか人をだます事件が多いですけど。

──そんな中で、当時の人気番組だった10週勝ち抜きを競う「全日本歌謡選手権」(日本テレビ系)を目指すわけですね。

八代 歌謡選手権はキャンペーンの合間にチャレンジしていました。出演者たちはお母さんや家族がついてきたりしているのに、私は独りぼっち。しかも、水も喉を通らないくらい疲れきって、声も出ないし、歌える状態じゃなかった。だけど、「絶対に勝ち抜くぞ」と必死でしたね。

 理不尽なことも多かったんですよ。ある町にキャンペーンとラジオ出演とお祭りが一緒になったイベントに呼ばれて行った時のことです。歌謡選手権で4週勝ち抜いた頃かな。町中の人が集まってイベントは大成功、体育館でお弁当を食べることになったのね。お偉いさんが「お疲れさん、食べなさい」と言うから「お疲れ様」って食べようとしたら「そこの売れない歌手、一緒にメシ食うのは10年早い」「食べる暇があったらお酌しろ」って。「じゃ、食べません」と言いながら2回はお酌したけど、3回目は「しません」「食べません」と言って出てきちゃった(笑)。私は優しい声をかけられたり、励まされると頑張るタイプなんです。

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