社会
Posted on 2021年10月04日 05:55

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<秋の花粉症>患者全体の15%が発症。春との違いは「喘息」

2021年10月04日 05:55

 くしゃみや鼻水、目のかゆみがひどくなったら、「秋の花粉症」を疑ってもいいかもしれない。

 花粉は春だけでなく、年中飛散している。秋はイネ科やキク科のブタクサ、ヨモギなどの花粉がピークを迎えるだけに、花粉症にも要注意。患者全体の15%がこの季節に発症し、春の花粉症で悩まされる人にも、症状が出る場合が多い。

 これは春に飛散するスギやヒノキなどの樹木花粉と、ブタクサ、ヨモギなど雑草の花粉は、アレルギーの原因物質となるタンパク質の構造がよく似ていて、「共通抗原性」を持っていることが原因。そのため、春と秋双方の時期に反応してしまうのだ。

 症状の違いは、花粉の粒子の大きさによる。

 春のスギ花粉などは、粒子が大きく鼻の粘膜に止まりやすい。そのため、鼻水やくしゃみなどの症状が多い。

 一方、秋のブタクサなどの花粉は、粒子が小さく、気管支に入り込んでしまい、喘息のような症状を引き起こす場合もある。別名「喘息草」とも呼ばれるゆえんだ。

 一般的に、花粉症は春のイメージだが、その原因には、飛散花粉の距離と時期の関係があると言われており、スギやヒノキの背の高い樹木の場合は、数百キロメートルも花粉が飛ぶが、ブタクサやヨモギなどの雑草の飛散距離は、せいぜい数キロメートル~遠くても数十キロメートル程度だからだ。

 予防法は、洗濯物を外に干さない、花粉がつきにくい衣類を着る、花粉飛散量の多い時間帯の外出は極力控えたり、内服薬を飲むなど、春の花粉症とほぼ同じだ。

 毎年この時期に、くしゃみや鼻水が出たり、鼻がムズムズしているなどの症状がある人は、病院で一度アレルギー検査を受けてみたほうがいいだろう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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