社会

あの健康学説は「ウソ?ホント?」を一挙ジャッジ(1)朝食を抜くと逆に太る?

 年齢を重ねるにつれ、さまざまな健康法に耳を傾けるようになるが、例えば食事については、「必ず1日3食」説もあれば、「1日1食で十分」説もある。同じテーマの健康学説でも複数の意見が対立、どちらを信じればいいか迷ってしまうケースが結構あるのだ。そこで専門家に、こうした健康学説「ウソ? ホント?」論争を一気にジャッジしてもらった!

 まずは、健康のため毎日ウォーキングをしている人が迷う、運動は食前、食後のどちらが健康にいいか。

 医療ジャーナリストの松井宏夫氏が言う。

「食後の運動が必要なのは特に糖尿病の人です。糖尿病の人は食後に急激に血糖値が上昇するので、それを抑えるために食後に運動するのがいい。一方、食前の運動がいいのは、中性脂肪が高めの人。おなかがすいている時は脂肪が燃焼しやすくなる。つまり中性脂肪を低下させてくれるのです」

 健康診断で中性脂肪値が高かった人は血液がドロドロ状態。食前の空腹時に運動すると、そのドロドロ状態が改善されるというわけだが、サラリーマンにとって食前に運動する時間を作るのは至難の業だ。どうすればいいのか。

「ランチを食べに行く時も会社から歩いて5分のところではなく徒歩15分くらいの店に行く。空腹状態で15分、腹ごなしに15分。計30分歩いたことになる。職場が高層階にある人はエレベーターでなく階段を使う。すると、1日8000~1万歩歩くのも難しくないですよ」(前出・松井氏)

 続いては1日の食事は1回か3回か。都内の大学病院の内科医が言う。

「双方にメリットはあります。1日1食にすると空腹の時間が長くなり、おなかが鳴りますが、これは内臓脂肪が燃えているサインなんです。やがてこれが慣れてくると食べ過ぎを防ぎ、若返りを促すホルモンが分泌されてくるという説もあります」

 つまり、肥満も防げるわけだが、空腹を我慢するのはつらいもの。対して、朝昼晩1日3食派のメリットも肥満予防につながっているという。内科医が続ける。

「ダイエットしようとしていちばん抜きやすいのは朝食ですが、朝食を抜くと昼食で食べ過ぎてしまい逆に太りやすくなるんです。というのは、人間が活動するため食べ物からとるブドウ糖は、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられていますが、24時間働く脳や筋肉のために使えるエネルギーは肝臓のグリコーゲンに限られ、1日に必要なブドウ糖は150グラム程度。ところが、肝臓に蓄えられるグリコーゲンは1回の食事で50グラム。これでは6~8時間しかもたない。つまり朝食を抜くと、肝臓のグリコーゲンが枯渇し、それを補うため筋肉のたんぱく質をアミノ酸に分解してブドウ糖に変えると同時に、脳は食事をしろと強い指令を出し、過食になってしまうのです」

 空腹が我慢できない性質の人なら、むしろ3食きちんととったほうが、ダイエットにもいいというのだ。血圧治療の名医としても知られる松本光正氏が言う。

「1日何食にするかはつまるところ好き好き。むしろ食料のあふれている現代は食べ過ぎないことがいちばん大事です」

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