社会

大岡越前が同僚から受けた「嫌がらせ」と「大岡裁きは1回だけ」の仰天真実

 名奉行・大岡越前守は長年、同僚からのいじめに苦しめられていた。

 徳川8代将軍・徳川吉宗の時代、南町奉行として活躍したと伝わる大岡忠相は、数々のエピソードを残している(写真は南町奉行所。現在の有楽町駅前にあった)。だが、俗に「大岡裁き」と呼ばれるものはほとんどなく、「白子屋お熊事件」の裁判を担当し、判決を下したのが唯一だという。

 この「白子屋お熊事件」をモデルにして、後に講談のネタにもなった「白木屋お駒事件」が生まれた。

 白子屋の女房・お熊が、手代の忠八と不貞。夫の又四郎の存在が邪魔になったため、使用人のお菊に殺害を依頼したという事件だった。

 結局、殺害に至らなかったのだが、忠相はお熊とお菊を市中引き回しにした上、獄門にかけた。封建時代としては、考えられないような出来事だったからである。

 忠相は町火消し組織を再編、小石川養生所の設立にも尽力するなどの働きが評価され、後に町奉行から寺社奉行へと、異例の出世を遂げる。

 忠相は1700石の旗本・大岡忠高の四男で、後に同族の1920石、大岡忠真の養子になった人物である。その後、順調に加増され、享保十年(1725年)には3920石、そして元文元年(1736年)に寺社奉行を命じられた時には、5920石になっていた。

 寺社奉行は本来、1万石以上の大名の役職である。そのため、禄高(ろくだか)が役禄に達していない忠相は、不足分を加増される足高の恩恵を受けて、ついに1万石の大名格になった。江戸時代、旗本が大名格にまで出世したのは、忠相ただ1人だ。

 だが、これが悲劇を生んだ。当時の大名が務める寺社奉行は、城中の武家の礼式を管理する奏者番を兼務するのが普通で、通常は奏者番の詰め所にいる。だが、家柄的には旗本だったため、忠相は奏者番には任命されなかった。

 そのため、登城して他の寺社奉行のように詰め所に入ろうとすると、同僚たちから「ここは奏者番の部屋で、寺社奉行が入る部屋ではない」と嫌がらせを受け、追い返されたという。

 のちに吉宗がこの事実を知り、新たに忠相用に詰め所を新設。だがそれは、十数年後のことだった。名奉行も、男の嫉妬には苦労していたことになる。

(道嶋慶)

カテゴリー: 社会   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
JR東日本に続いて西と四国も!「列車内映像」使用NG拡大で「バスVS鉄道旅」番組はもう作れなくなる
2
【ボクシング】井上尚弥「3階級4団体統一は可能なのか」に畑山隆則の見解は「ヤバイんじゃないか」
3
舟木一夫「2年待ってくれと息子と約束した」/テリー伊藤対談(3)
4
大谷翔平が「嘘つき」と断言した元通訳・水原一平の潜伏先は「ギャンブル中毒の矯正施設」か
5
リストラされる過去の遺物「芸能レポーター」井上公造が「じゅん散歩」に映り込んだのは本当に偶然なのか