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子供たちの「隠れアンパンマン探し」に噛み付いた大人の「現状無視の言いがかり」

 子供達のヒーローが迎えてくれる「アンパンマンミュージアム」が大揺れしている。

 きっかけは仙台と神戸のアンパンマンミュージアムに設置された「点字ブロックに描かれた、隠れアンパンマン」。隠れアンパンマンを探すために夢中になった子供を、点字ブロックを頼りに歩行する視覚障害者が踏みつける恐れがあると、障害者団体などから指摘があり、ミュージアムは隠れアンパンマンを撤去すると発表したのだ。

 両ミュージアムに行ったことがある筆者からすると、この指摘は「アンパンマンミュージアムに無縁な、一部の社会的弱者による言いがかり」に映る。

 隠れアンパンマンが設置されていたのは、館内スロープに差しかかる点字ブロック。ベビーカーや車椅子でも移動ができるよう、段差のないバリアフリーになっており、アンパンマンに会えて興奮した子供は、スロープを転がるように駆け出す。イヤイヤ期の2~3歳児に「危ないから止まれ」と言って大人しく止まれば、苦労などない。興奮した子供が館内を駆け出すのは当たり前。館内の壁も、子供が激突してもいいように、クッション材が入っている。

 そんなスロープを駆け出す幼児に「あー、こんなところにアンパンマンがいる」と声をかけると、あーら不思議、子供は駆け出すのをやめて、点字ブロックの中からアンパンマンの顔を探すために集中し、大人しくなる。問題の隠れアンパンマンは、子供がスロープを転がり落ちてケガをするのを防ぐ「センスある仕掛け」だったのだ。

 ミュージアムには視覚障害のある子供も来場しているが、アンパンマン像を嬉しそうに抱きしめる微笑ましい姿を見かける。けっして障害ある子供に無理解な施設ではない。

 幼児向けの施設なので、来場者は子供連れかグループ。視覚障害者や視覚障害児が1人で来館する機会は、ほぼゼロだ。むしろ、隠れアンパンマンを撤去することで、館内を走る幼児と視覚障害者がぶつかるリスクの方が高まったのではないかと、余計な心配を抱く。

 子供が公園で遊べば周辺住民からうるさいとクレームをつけられ、公園ごと潰される時代。子供が走り回れる場所なんて、今や幼児向けの有料施設しかない。そこに子供とは無縁の一部障害者が踏み込んできて、クレームをつけまくる。

 小学生が愛用する「ジャポニカ学習帳」も、1人の教員が「昆虫が苦手な子から、気持ちが悪いと言われる」と意見したことがきっかけで表紙から昆虫が消え、花の写真に変わった(その後、昆虫のシリーズは復刻。現在は宇宙編が発売されている)。やはり幼児から学童まで490万部も売れた「うんこドリル」特別展にも「品位がない」と、おひとり様の中高年女性から苦情がきたという。

 メンドクサイ人たちが「文句を言ったもん勝ち」で、子供達の楽しみが奪われる。こんな息苦しい国で、若者が子供を産もうなどと思わないだろう。かくして少子化はどんどん進む。

 以前、子供専門病院の名医の紹介記事を書いたところ、後日、病院から連絡が来た。

「なんで子供しか受け付けないんだ。名医ならこんな出来損ないの子供達を診るより、オレ様を見ろ」と暴言を吐く中高年男性が押しかけてきて、来院した子供達が怯えて泣き出したそうだ。

 アンパンマンミュージアムへの苦情もそうだが、子供連れの家族や病院、娯楽施設の職員が反論できないことに付け込んで、あえてクレームをつける残念な「社会的弱者」というものが存在する。そんな調子だから、今や障害者施設、障害児施設は、

「保護者、利用者のクレームだらけで看護師の精神的な負担が増し、みんな辞めた。派遣看護師や60歳以上のアルバイト看護師で回している」(都内障害者施設の管理職)

 という現状だ。

 マイノリティー、社会的弱者と位置付けられている人たちはそろそろ、仲間内の言動が自らの首を絞めていると自覚してはいかがか。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

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