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Posted on 2011年11月27日 11:54

有名男女13人「人生引き際」の美学 (6) チョコボール向井 時代の変化に「飲食店」オーナーに転身 「もうプロの男優が必要ないと痛感した」

2011年11月27日 11:54

 元祖マッチョ系のAV男優・チョコボール向井(45)。5年前に、いち早くAV界の変貌の予兆を感じ取り、新宿2丁目にバー「チョコボール ファミリー」をオープンさせた。代名詞の「駅弁」に別れを告げた当時をこう語る。

 店を始めた当初は、男優を掛け持ちでやってました。最初の1年間だけAVとの兼業生活を続けてきましたが、男優をスパッと辞めて本当によかったと思いますよ。AV男優ってつぶしのきく職業じゃないし、不器用なヤツが多いし、道しるべになるような先輩もいませんでしたからね。
 チョコボール向井といえば、トップAV男優としても圧倒的な知名度を誇っていた。マッチョな肉体と得意ワザの「駅弁ファック」が、共演する女優をもしのぐ存在感を放っていたのも90年代までだった。その後、00年代を迎え、AV業界は、セルDVDが台頭。さらには、制作費の低予算化の時代を迎えて、キャラクターの強い男優は、徐々に活躍の場を失っていった時代でもあった。
 ズルズルと業界に残っている同期からは、寂しい話ばかりが聞こえてきます。男優だけでは生計が苦しいから、助監督や編集の手伝い、中にはAVのボカシ入れまでしているヤツも。売れっ子男優から借金をしたり、ガードマンや工事現場の交通誘導をしているという話も聞きます。
 つい最近、先輩の加藤鷹さんと会った時、「舞台のない歌い手は歌手じゃないよ」とおっしゃってましたが、それくらい、個性派のベテラン男優にとっては、厳しい状況のようです。
 男優の世界に見切りをつけた向井は、06年12月、新宿2丁目にバーをオープンさせ、翌年いっぱいでAV男優業を引退。そこには、AV業界に対する未練はなかった。
 私の引退した翌年ぐらいが撮影本数のピークとも言われているように、まだ仕事はありました。ただ、VHSからDVDに移行して、制作方法が大きく変わり始めていました。
 まず、ストーリー性が重要視されず、指マン、フェラ、クンニ、挿入、バックという見どころが際立つ構成スタイル。当然、男優の個性なんて求められなくなり、顔も撮られない。しゃべりもうっとうしいと言われるようになり、ベテラン勢は煙たがられるようになってしまったんです。そして、制作のコスト削減に伴い、男優の拘束時間が短くなり、ギャラが下げられました。
 まあ、ここまでは時代のニーズと理解できますが、バイアグラなどのED薬で、男優という仕事が誰にでもできるようになってしまったんですよ。たぶん、9割近い男優が薬に頼ってますよ。当時も、撮影の30分前ぐらいから男優の顔が赤らみ、目が血走る(笑)。僕らの全盛時代は亜鉛などの健康サプリぐらいで、まさに己の体と精神力の勝負
でしたよ。それで13連発なんて回数に挑んでいたんですが‥‥。薬によるあのバッキバッキの勃起力があれば、誰にでも「駅弁」だってできちゃう(苦笑)。「潮吹き」にしても、女優側が水分を多めに取ってくれるのでそれほど難しくないんですよ。あー、もうプロ(の男優)を必要としていないんだなと痛感させられ、身を引くことに決めたんです。
 90年1月に樹まり子の「男優さん、いらっしゃい」(クリスタル映像)でデビューをしてから17年間。男優生活の末に、向井はやっと自分の居場所を見つけたという。今は料理の腕を磨き、ベッドと同じようにバーでも相手の反応を見ながら心地よくなってもらっている。
 桜樹ルイさんや亡くなられた飯島愛さん、及川奈央チャンや蒼井そらチャン、思い出の女優さんは多いですが、女神といえば、やはり樹さんですね。初仕事をスムーズに導いてもらえたからこそ、ですからね。
 今年、お店の5周年パーティを開催できるのも、そんな個性的で心優しい女優さんたちのおかげですよ。名前を覚えることはもちろん、表情やしぐさ、雰囲気から相手の気持ちを察することは、接客業にも通じますからね。わざわざお金を払って飲みに来てくれるお客さんを、これからも喜ばせていければと思っています。

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