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記事全文を読む→世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「プロの指導者は大阪桐蔭を見習え」
今年の中日はセ・リーグの台風の目になると思っていた。投手力はリーグトップで、若手の成長と外国人の加入で課題の得点力もアップが見込まれる。「思っていた」と過去形にしたのは、開幕直前に頭の痛いアクシデントが2つあったから。1つは中継ぎエースのジャリエル・ロドリゲスの亡命騒動。WBCにキューバ代表として出場していたが、予定日に来日せずに音信不通になってしまった。海外の報道によると、アメリカに亡命してメジャー球団への移籍を目指しているという。球団は調整遅れを覚悟しながらも、気前よくWBCへの参加を認めてあげたのに、金に目がくらんだ恩知らずの行為と言うしかない。
もう1つ痛かったのは、二塁のレギュラーに内定していたドラフト6位の田中幹也のケガ。亜大3年時には「潰瘍性大腸炎」で大腸を全摘出する大手術を乗り越えてのプロ入り。ドラフト順位こそ低いが、荒木の背番号「2」を引き継いだことに期待の大きさが表れていた。身長166センチの小さな体やけど、走攻守のセンスは抜群。キャンプから立浪監督もほれ込んでいる様子やった。ところが、僕が普段から口酸っぱく言い続けている「防げるケガ」で長期離脱が確実になってしまった。
ケガをしたのは3月19日の楽天戦。一塁走者で牽制に頭から帰塁した際に右肩を脱臼した。29日に手術したようで早期復帰を目指すというが、今季は計算できない。今季どころか、せっかくのレギュラー奪取のチャンスを人に譲るわけやから、野球人生を大きく左右するケガとなった。これからが勝負やったのにほんまにもったいない。立浪監督だけでなく、荒木らコーチもファンもガックリしてしまう。だから僕は「牽制の帰塁は足からしなさい」と、しつこいほど言い続けている。WBC日本代表の源田も、それが原因で小指を骨折して、開幕戦は欠場となった。「アウト一回、ケガ一生」の意味がわかっていない選手が多すぎる。
赤星も阪神の春季キャンプで臨時コーチを務めた際に、足から帰塁するよう指導していた。それでも阪神の選手はいまだに頭から帰っている。やろうと思ってもできないのは、そもそもリードする形が悪いのも原因や。正面から見て、足の形が逆ハの字の形になってないといけないのに、一塁走者で一塁側の足のつま先が正面を向いている選手が少なくない。それだと左の足がロックされてしまい、一塁方向にスムーズに戻れない。だからバタッと倒れて頭から帰らざるをえなくなる。前の塁にも後ろの塁にも足が動くように構えるのがリードの基本。きちんと教えるアマチュアの指導者が増えないといけない。
センバツの甲子園を見ていると、いまだに一塁にヘッドスライディングをする選手が多い。それをまた、実況アナウンサーが「気迫あふれるプレー」と称えてファンも拍手を送る。実際に首の骨を折った選手もいるし、そうなってから後悔しても遅いんやから。
近年の高校野球の王者は大阪桐蔭。全国の強豪校が追いつけ追い越せと目標にしているが、本当に参考にしないといけないのは、西谷監督が一塁へのヘッドスライディングを禁止していること。プロを狙う有望な選手にケガされると、本人はもちろん、チームにとっても痛い。危険なプレーを美化する風潮はほんまになくしたほうがいい。
福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コーチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。
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