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記事全文を読む→実録・1万2000ページで読み解く「昭和天皇」激動の87年生涯-“靖国合祀”と“人間宣言”篇-(2)
終戦翌年の1月1日、昭和天皇は「新日本建設に関する詔書」を発表。「天皇は現人神でない」と表明したと解釈される部分があり、「人間宣言」の別称でも知られている。
「実録」では、この詔書作成を主導したGHQとの水面下でのせめぎあいを伝えている。神の一族であることを「架空なる観念」とするGHQ案には、こう意見を述べた。
〈朕が神の裔《すえ》でないとすることには反対である〉(46年12月29日)
「現人神ではない」ことは認めても、神の末裔であることを否定するわけにはいかなかったのだ。
「現人神とは、肉体を持った人間でありながら神であるということ。昭和10年代からの極端な“神格化”に対する違和感は、終戦前から持っておられました。その意味では、現人神を否定することに昭和天皇は違和感がなかったのです。しかし『神の裔』を否定すると、天照大神を祀る伊勢神宮との関係も切り離され、天皇の大切なお務めである祭祀、三種の神器の尊厳を否定することになります。皇室の歴史を捨てることは断固として否定されたのです」(高森氏)
「実録」公開にあたって、注目を集めたトピックの一つに、靖国神社の「合祀問題」がある。75年を最後に昭和天皇は靖国参拝をしていないが、その理由を「A級戦犯の合祀」とする論拠となったのが富田メモだ。
「実録」は、昭和天皇が富田朝彦宮内庁長官(当時)と面会し、
〈靖国神社におけるいわゆるA級戦犯の合祀、御参拝について述べられる〉
と、メモが記された状況を描写するにとどめている。
「個人的には合祀が直接の原因ではないと思っています。天皇がそのことに対して発した記録がないからです。陛下ご自身は参拝をしたい気持ちがあったと考えます」(蜷川氏)
蜷川氏が指摘するように、昭和天皇は靖国の英霊を詠んだ和歌をいくつも残している。高森氏は靖国参拝取りやめの理由を政治的配慮だったと見る。
「昭和天皇は靖国神社をものすごく大切に思っておられた。しかし、75年8月15日に三木武夫(当時総理)が参拝したことで、天皇の靖国神社ご参拝までもが国会で取り上げられ問題になった。政治問題になると、天皇としてはご親拝を続けることができない。〈靖国神社への御参拝は、この度が最後となった〉(75年11月21日)と記された『実録』は意味深長。中断の原因がこの政治問題であったことを伝えようとする編集者の意図を読み取るべきでしょう。合祀は78年。その3年前から、天皇はすでにご親拝ができない状況に置かれていたんです」
「実録」は、終戦後の知られざる苦悩をも浮き彫りにしている‥‥。
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