スポーツ
Posted on 2014年11月15日 09:57

掛布雅之 日本シリーズ敗戦で浮上した最重要課題(1)

2014年11月15日 09:57

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 日本シリーズでソフトバンクに敗れた阪神は、来シーズンに向けての準備をすでに始めています。私も10月末に球団との間で来季の契約を更新しました。GM付育成&打撃コーディネーター(DC)として2年目がスタート。11月3日から高知・安芸秋季キャンプの練習を見守っています。

 ですが、日本シリーズを振り返ると、やはり悔しさばかりが募ります。85年以来の頂点まであと一歩に迫りながら、来年に大きな課題を残す終戦となってしまったのです。

 戦前は阪神有利と予想しましたが、あそこまでの打線の沈黙は想定外でした。日本シリーズのチーム打率は1割8分7厘、0本塁打。2戦目に先発した武田の独特の縦割れカーブには苦労すると予想していましたが、その残像を各打者が引きずってしまい、3戦目以降も打撃を修正することはできませんでした。

 武田のカーブは視界から一瞬消え、高めのボールゾーンからストライクゾーンに落ちてきます。対戦すると無意識のうちに顎が上がり、前の肩が上がってしまいます。3戦目はその狂いを修正するどころか、大隣の投球に、さらに大きく打撃を狂わされました。ストレート、チェンジアップ、スライダーがまったく同じ腕の振りで、タイミングが合いませんでした。相手捕手の細川は2戦目以降、「緩急」で抑えられると確信を持ったはずです。もともとタイガース打線は速い球には弱い傾向がありました。速いボールに対応できないから、そこに緩い球を交ぜられると、お手上げとなってしまうのです。

 巨人に4連勝したCS最終Sでは攻めの采配が冴えた和田監督も、日本シリーズでは迷いが生じ、後手を踏むシーンが多々ありました。あとがなくなった第5戦目は、マートンを1番に起用し、不振の西岡を6番に下げました。最後は0-1の9回一死満塁で西岡に打順が回り、守備妨害を伴う一ゴロ併殺打でのジ・エンドは皮肉な結果でした。

 そもそも「1番・マートン」はシーズン中にも失敗した策でした。V逸の原因となった9月5日からの中日3連戦、巨人3連戦に負け続けての6連敗。4連敗を喫した時点で1番にマートンを持ってきましたが、機能することなく2試合でもとに戻したのです。大舞台で再び賭けに出た「1番・マートン」。追い詰められた阪神ベンチの断末魔のようでした。

 結局、阪神打線はゴメスが封じられれば勝負にならなかったということです。第1戦目こそ2安打3打点と活躍しましたが、2戦目以降は13打数1安打の打点0。ボール球にバットが止まらず、4番としての役目を果たせませんでした。後ろにマートンが控えているため、相手バッテリーは四球を出すのが嫌なはずですが、ストライクを投げなくても振り回してくれるのですから楽なものです。

 この1年を通しての結論からすると、ゴメスは後ろの打者が誰であろうと関係ないタイプです。だとしたら最もヒットを打つ確率が高いマートンを5番に置いておく必要はないのです。和田監督が5戦目で1番に起用した気持ちも理解できます。鳥谷が海外FAでメジャーに挑戦する可能性もあり、来季の布陣は未定ですが、マートンの打順を考え直さないといけません。

阪神Vのための「後継者」育成哲学を書いた掛布DCの著書「『新・ミスタータイガース』の作り方」(徳間書店・1300円+税)が絶賛発売中。

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