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元ネタの絵師が「葛飾北斎は人のマネばかり」とボヤいた「北斎漫画」はパクリという説

 江戸時代に活躍した葛飾北斎は、世界的にも有名な絵師だ。代表作のひとつが、文化11年(1814年)から刊行された画集「北斎漫画」で、ヨーロッパでも「ホクサイ・スケッチ」の名で親しまれている。

「北斎漫画」には動植物、市井の人々、歴史上の人物、妖怪、幽霊など4000点を超える様々な図版が収録され、マネなど印象派の画家に大きな影響を与えている。また、現代の「漫画」のルーツともされている。

 ところが「北斎漫画」のアイデアは、ある絵師が出版した「略画式」のパクリだ、との説がある。その「略画式」の作者が北尾政美(まさよし)で、またの名を鍬形蕙斎という。

 明和元年(1764年)に生まれ、13歳の頃に北尾重重に入門。安永7年(1778年)、咄本「小鍋立」で早くも本の挿絵を手がけている。

 寛政6年(1794年)、31歳で津山藩の御用絵師になり、剃髪。名前を鍬形蕙斎紹真(つぐざね)に改め、翌寛政7年(1795年)に著したのが、略画の絵手本「略画式」だった。

 蕙斎によると、「略画式」は「形によらず精神を写す、形をたくまず略す」描き方だという。簡単にいえば、簡潔に略した線で、あらゆる対象物を自由自在に描くことだ。

 その着想をパクッたのが、「略画式」から19年後に出版された「北斎漫画」だった。事実、苦々しく思った蕙斎は「北斎は人のマネばかりしている」とぼやいたという。現代なら、知的財産権うんぬんの話になっていたかもしれない。

 葛飾北斎の名前は、現代では世界中に響き渡っている。「漫画」「アニメ」は世界に誇る日本の文化だ。もし蕙斎が「略画式」を発行せず、北斎が影響を受けなければ、どうなっていたか。生まれてくるのが少し早すぎる天才がいたものだ。

(道嶋慶)

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