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Posted on 2024年07月28日 09:55

ホントーク〈吉本ばなな×綿矢りさ〉(1)「現代の幸せ」はメルカリにある

2024年07月28日 09:55

幸せへのセンサー吉本ばなな/1650円・幻冬舎

 小説家の吉本ばなな氏が、これまでの人生でたどり着いた幸せになる方法を綴った「幸せへのセンサー」。生きづらささえ感じる今の世の中で幸せとは何か?「この本を読んで気持ちが安らいだ」という綿矢りさ氏と吉本氏が、幸せの本質について語り合った!!

綿矢 今日はご登場くださってとてもうれしいです。この本は、今年60歳になられる吉本さんがたどり着いた、現実の中で幸せになる方法が語られています。「自分の体のセンサーを信頼する」「欲望を突き詰めても、孤独になるだけ」など、大切なメッセージがいっぱい詰まっています。

吉本 ありがとうございます。幸せってこういうことじゃないか、こういう考え方をしたら自分にとっての幸せがどういうものかわかってくるはず、という私なりの幸せについての考え方をまとめてみました。綿矢さんはどんな時に幸せを感じますか?

綿矢 自分が好きだと思うものを、買ったり読んだり食べたりする時です。最近はメルカリで古い時代の服や中国の家具、誰かのおばあ様の遺品みたいな物を買い集めて家に置いています。何だか部屋がお化け屋敷みたいになっています(笑)。

吉本 私もメルカリを見ています。それこそ、もう自分で自分が心配なぐらい。お掃除ロボットの車輪のゴムとか作っている人がいるんですよ。それを見て「よくやった。でもこんなとこまで誰も望んでない」って思ったりします(笑)。

綿矢 マニアックな出品者いますよね(笑)。

吉本 メルカリを見ていると、この世の中は、どんな物でも売っている人がいるなって思いますね。

綿矢 本当にそうですね。子供が図画工作で使う飾りみたいなパーツやレッスンバッグなど、普通だったら私が縫わなきゃいけない物まで全部売っていますから。

吉本 しかも、イニシャルを入れられるとか、ちょっとオーダーメイドができたりしてね。

綿矢 でも意外です。吉本さんがメルカリをご覧になられているのって。

吉本 もうすごいですよ。服とかもすごい状態で届くこともあります。

綿矢 でも、欲しい物を簡単に手に入れられてありがたいです。

吉本 本当にありがたいです。現代の幸せはメルカリですね(笑)。

綿矢 ところで、この本の中で「幸せはオーダーメイド」だとおっしゃっていますが、私は頭ではわかっていても人が誉めたり、うらやましがる幸せの方が輝いて見えて、自分独自の幸せがみすぼらしく見える時があります。

吉本 そうなの? そんな風には見えないけれど。やっぱり、シャネルが最強だと思ってるんですか。

綿矢 こんなにたくさんの人が支持しているということは、自分がわからないだけで、本当はすごくいい物じゃないのか、という気持ちがあります。例えば、バッグが2つあって、どちらかもらえるとしたら、本当は手頃でかわいらしい方がいいなと思っていても、何十万円もするシャネルの方を選んじゃいます(笑)。

吉本 それは確かにシャネルを選ぶかも(笑)。

綿矢 でも、そういう世間の価値観に振り回されていると、幸せへのセンサーが鈍ってきたりしますか?

吉本 鈍ると思います。

綿矢 そうならないためには、どうすればいいですか。

吉本 自分が何をしたくて、何が欲しいのかを、ちゃんとわかっていれば、間違えることはないと思います。例えば旅行がしたい人だったら旅行に、オシャレがしたければバッグなどにお金をかけた方がいい。

綿矢 なるほど。好きなジャンルにお金を使うと考えればいいんですね。それから「自分を大きく変えようとしなくても、日々の微調整が流れを変えていって、それが幸せに繫がる」と書かれています。具体的にはどうすればいいでしょう?

吉本 まず、外見を変えることが一番早いと思います。整形とまでは言わないけれど。人のしぐさはなかなか変えられません。まずは服装や髪型を変えて、見た目に伴って自分が変わっていくのが現代における「微調整」だと思います。

綿矢 こういう人になりたいと思ったら、その人を見本にして外見を変えてみる。確かにそれだと、いろいろ悩まなくていいですね。

吉本 簡単でしょ。ぜひ、実践してほしいですね。

ゲスト:吉本ばなな(よしもと・ばなな)1964年、東京生まれ。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。著作は30カ国以上で翻訳出版され国内外での受賞も多数。近著に『下町サイキック』。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

聞き手:綿矢りさ(わたや・りさ)1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。01年『インストール』で文藝賞を受賞しデビュー。04年『蹴りたい背中』で芥川賞を受賞。12年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞、19年『生のみ生のままで』で島清恋愛文学賞を受賞。『勝手にふるえてろ』など著書多数。

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