今年いっぱいで2階の飲食店街(写真)の閉鎖が決定している、大阪・なんばの複合商業ビル「味園ビル」。一部では、中国人やシンガポール系の企業が土地を購入するのではないかという噂が飛び交っているが、閉鎖の本当の理由は依然として明らかにされていない。
今年の夏、久々に味園ビルを訪れたところ、週末にもかかわらず、来客数は予想外に少なかった。
「飲食店街閉鎖のニュースが流れた直後は多くの人が来ていたんですが、夏休みが終わった今、だいぶ落ち着いていますね」(2階飲食店の店主)
閉鎖の発表から3カ月が経過し、飲食店街の店主たちは新しい店舗探しや閉店準備に追われている。しかし移転先が決まったのはほんの数店舗だけで、多くの店が閉業を決断しているという。この店主が続ける。
「味園ビルで長年営業してきた理由のひとつは、家賃の安さでした。今、新たな店舗を探していますが、難波エリアは家賃が高く、なかなかいい物件が見つからない状況です。これまで安い価格で営業してきましたが、次の店舗では今の価格を維持するのが難しいため、価格調整が大変です。お客さんが離れてしまわないかと心配ですね」
味園ビルがある大阪市中央区は、公示地価が年々上昇しているエリアである。これまで低価格とディープな雰囲気を武器に営業してきたバーや飲食店にとって、家賃の急激な上昇は大きな負担となろう。必然的に、今までの客層を維持することが難しくなる可能性が高い。飲食店街の店主たちは重大な判断を迫られている状況だ。