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記事全文を読む→医師・帯津良一の健康放談「メタボ健診の罪は大きいと言わざるをえません」(2)
私は自分の病院に来る患者さんに、コレステロール値を下げる薬を出したことがありません。
300mg/dl未満なら、「ライフスタイルを改善すれば下がります」と指導しています。この程度の数値であれば摂取カロリーを少し制限し、よく運動をすれば問題ないと考えているからです。
ただし、300mg/dlを超えると患者さんの体調も絶好調というわけにいきません。その場合は、私ではなく、内科の先生に薬の処方の判断を委ねます。
私が300mg/dl以下の患者さんに原則として薬を処方しない理由は2つあります。
1つは、コレステロール値を下げる薬を飲むと、つらい副作用を伴う可能性があるからです。コレステロール値が下がっても副作用がきついのでは、帳尻が合いません。
2つ目は、コレステロール値を極端に減らすと、ガンに対する抵抗力が失われてしまうからです。コレステロールは免疫細胞だけでなく、体を形づくっている全ての細胞の膜の構成成分です。健康な人が病気を予防したり、心身の活力を高めるためにも欠かせない成分なのです。
コレステロールが必要以上に減ってしまうと、免疫細胞の働きが低下し、新しい免疫細胞を作ることも難しくなり、結果的にガンの暴走を食い止められなくなる危険性が高まります。薬で血液中のコレステロールを無理やり下げた時にも、同様のことが起こる可能性もあると考えられます。
実際、ガンにかかった患者さんは、コレステロール値が極端に低下するため、数値を上げる治療をしなければなりません。ですから、コレステロール値が高い人も通常の人も、低くする方向に努力するのではなく、「高値安定」を目指さなければならないのです。
だからこそ私は、コレステロール値に悩む患者さんにはこう伝えています。
「少しぐらい太っている、“ちょいメタ”だっていいんです。重要なことは数値や腹囲のサイズではなく、胸に煮えたぎる『ときめき』を持って、自分の人生を積極的に生きることです」
私は腹囲が1メートル、コレステロール値が260~270mg/dl、中性脂肪が385mg/dlですから、現在のメタボ健診の基準値で言えば、間違いなく薬の処方が必要なレベルです。でも私は、自分を健康だと信じて疑っていません。
中性脂肪値は日頃の食生活の結果ですから、うまい食事をたらふく食べて酒を呑んだあとは、誰でも高くなりがちです。値を下げたかったら、粗食を心がければいい。数値を気にする患者さんには、「下げたかったら採血する前の1週間、粗食を心がければ必ず下がります」と指導しています。
中性脂肪値は、食事で簡単に上下する流動的な数値です。神経質になって正常値に「右へならえ」をすると、今度はそれがストレスとなって、よけいに数値を悪くしてしまいます。
数値に一喜一憂したあげく、悪化を招くなんて、バカげていませんか?
◆プロフィール 帯津良一(おびつ・りょういち) 医学博士。東大医学部卒、同大医学部第三外科、都立駒込病院外科医長などを経て、帯津三敬病院を設立。医の東西融合という新機軸をもとに治療に当たる。「人間」の総合医療である「ホリスティック医学」の第一人者。
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