秋のダートGⅠ・チャンピオンズカップの舞台である中京競馬場のダート1800メートルは、極めてトリッキーなコースとして知られている。出走馬の陣営が気にかけてやまないポイントは、以下の2点だ。
まず、スタート地点が直線(スタンド前)の坂の途中(登り坂)にあるため、スタート直後、馬が前につまずいたり、横によろけたりして、位置取りが後方となってしまう。
そして最終4コーナーのカーブがきついため、外を回った先行集団以下の馬はコースロスを余儀なくされ、鬼脚を繰り出したとしても、およそ届かない。
12月1日に行われた今年のチャンピオンズCも、しかりである。事実、1着馬のレモンポップ(牡6)は2番手から1番手と終始、インのラチ沿いを選択しての優勝。2着馬のウィルソンテソーロ(牡5)と3着馬のドゥラエレーデ(牡4)も、外を回らず4コーナーからインを強襲しての上位入線だった。
したがって、2つのコースバイアスによって「不発」に終わった馬の次走は要注意である。中でも筆者が注目しているのは、15着に大敗したガイアフォース(牡5)と、7着に甘んじたアーテルアストレア(牝5)の「2頭」だ。
芝とダートの二刀流で能力的にも抜けていたガイアフォースは、鬼門のスタートでよろけてつまずき、1コーナーの位置取りは後方集団の大外。その後も4コーナーまでインに入れることができず、持ち味を全く生かせぬまま大敗を喫した。
一方、アーテルアストレアはスタートこそ五分に出たものの、テンに行けない脚質から、位置取りは例によって最後方。4コーナーでもインを突けず大外を回ることになったが、それでも大外後方集団の中では目を見張る鬼脚を見せ、7着に食い込んでいる。
その後、アーテルアストレア陣営は年明けの2月23日に行われるGⅠ・フェブラリーステークス(東京・ダート1600メートル)に出走すると表明。これが引退レースとなる。ガイアフォース陣営は次走の出走予定を明らかにしていないが、仮にこの2頭が揃ってフェブラリーSに出走してくれば、大波乱の立役者となる可能性は極めて高い。
そのほかの不発組も含めて、大穴一発の気配が漂うのだ。
(日高次郎/競馬アナリスト)