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記事全文を読む→クモの体内に侵入して「ゾンビ化」させる「ナゾの菌類」最新研究でわかったメカニズム
これまでの菌類学研究によれば、地球上に存在する菌類は動物界、植物界、原生生物界などをひっくるめると、約1000万から2000万種とされ、いまだ人間の想像が及ばない不思議な現象をもたらすものが多いといわれる。
そんな中、今年1月の「Fungal Systematics and Evolution」に、ある菌について驚くべき論文が掲載された。
問題の菌は「ギベルラ・アッテンボロギ」と名付けられた新種。なんらかの方法でクモの脳に影響を与え、巣からおびき出して殺した後、ゾンビ化した死骸を胞子拡散の手段として用いることが明らかになったというのだ。
この菌によってゾンビ化されたクモが、北アイルランドのキャッスル・エスピー湿地保護区内に設置された、ビクトリア朝時代(1837~1901年)の火薬庫で発見されたことがある。2021年のことだ。
「発見したのはBBCの自然ドキュメンタリー番組『Winterwatch』のメンバーでした。撮影中、アシナガグモの仲間であるメテリナ・メリアナエというクモの奇妙な死骸が多数あることに気が付きました。その多くは体の表面に不可思議な白っぽい菌類らしきものが付着しており、洞窟に生息するアシナガグモの別種にも、同様の菌類が付着していたというんです。そこでクモの死骸を、菌類学研究の第一著者である『CAB International』のハリー・エバンズ氏に送り、DNAなどの検査を行ったところ、この菌類がクモを殺しゾンビ化させ、胞子を飛ばしていることがわかりました」(科学ジャーナリスト)
不思議なことに、この胞子はクモの体内に侵入し、血液が流れる空間に感染。クモを生かしたままゾンビ化させ、その後に毒を放出して殺す。そのまま放置しておけば死骸が腐ってしまうため、抗生物質を出すことで細菌を繁殖させずに死骸をミイラのまま保存。クモの栄養分を全て吸い取った上で、そのミイラから胞子を拡散…という具合だった。
エバンズ氏は、この菌が作り出す抗生物質などの化合物がなぜ繁殖を防ぐことができるのか、そのメカニズムが判明すれば、将来的には医薬品としての利用が期待できる、としている。
ただ、ギベルラ・アッテンボロギが、クモの脳にどんな方法を用いて影響を与えているかは謎のまま。現在のところ、この菌はアイルランドでしか確認されていないが、これに近い菌類が英ウェールズのクモから発見されていることもあり、科学者たちは菌類学研究の新たな一歩になると期待している。
(ジョン・ドゥ)
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