社会
Posted on 2025年05月26日 05:58

大阪万博「酷評パビリオン」でわかった東南アジア「タイ」に「日本人が抱く幻想」

2025年05月26日 05:58

 10月まで開催中の大阪・関西万博で、まさかの酷評を浴びているパビリオンがある。「展示が貧弱」「まるで学校の文化祭」など、SNSで自国民からの辛辣な声が相次ぎ、担当大臣が急きょ現地視察に入る騒動にまで発展したというから、穏やかではない。日本人の旅行先として人気上位にランクされる、東南アジアのタイ王国である。

 タイ=微笑みの国、象に乗る、ガパオライスにタイパンツ、エスニックで緩くて癒やされる…。そんな「テンプレ観光地」としてのイメージづけが今もなお、ガイドブックやテレビ番組で繰り返されている。しかし実際のタイは、そんなのんびりした国ではもうないのだ。

「日本の友人が遊びに来るたびに『タイパンツを履いて街を歩きたい』『屋台でガパオライスを食べたい』って言うんですけど、正直言って、もうタイ人はあまりやらないですね」

 そう語るのは、バンコク在住歴8年の女性である。象柄のタイパンツを観光客が嬉々として履く姿には、もはや苦笑いしないという。続けて、

「バンコク在住の友人に聞いたら、あれはパジャマみたいな扱いで、外で履いていると、ちょっと恥ずかしいレベル。地元の若者はもっとオシャレですよ」

「タイらしさ」の象徴とされる屋台文化も、実は様変わりしている。

「昔は毎日、屋台でも平気だったけど、今は健康志向が強まっていて、若いタイ人は屋台よりもカフェやレストランで、オーガニック料理やビーガンメニューを選ぶことが増えています。特に富裕層や都市部の人は、屋台を『たまに食べるB級グルメ』ぐらいに捉えていますね」(バンコク在住ジャーナリスト)

 万博のタイ・パビリオンでは「ヤードム(メントール嗅ぎ薬)すら置いていない」という声が噴出する一方で、日本人観光客は「タイって癒やされる~」と満足顔。だが、その「癒やし」も、実は観光客向けの演出にすぎないのかもしれない。

「確かに日本人のタイ観は、10年ほど前からアップデートされていない印象です。リピーターの人ほど『前と同じもの』を求めてくる。でも、タイも社会も、どんどん変わっているんです」(前出・バンコク在住女性)

 進化を続けるアジアの中心地タイ。その「今」を見ずに「象と微笑みの国」に留まっていては、世界の中で取り残されてしまう…。

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