「藤川球児監督が、非常に苦心してブルペンをやりくりしている姿が浮かんできます」
首位争いを演じる阪神タイガースについてそう語るのは、在阪スポーツ紙デスクである。
阪神は5月29日の試合を終えた時点で48試合を消化し、先発陣のクォリティースタート(QS・先発投手が6回以上投げて3失点以下に抑えること)が20と、セ・リーグで最も少ない。最多のDeNAが46試合で32QSであることを考えると、阪神がいかに中継ぎ陣に負担をかけているかがわかる。
1-0で辛勝した5月28日のDeNA戦後、藤川監督は6回に前回の巨人戦で敗戦投手となったネルソンを投入した場面を振り返ると、
「湯浅(京己)を休ませたかったので、ネルソンに思い切って託した。苦しいマウンドになったが、最後、開き直ってアウトを取るというのは、実はリリーフにとってはすごく重要なこと。少しずつ強いネルソンになってくれるんじゃないかと思います」
5月20日の巨人戦で才木浩人が完封して以降の7試合、阪神は全て複数のリリーフ投手を使っているが、延長11回まで戦った試合が3つもあった。この間のリリーフは、延べ26人。岩崎優が5試合、石井大智と湯浅も4試合登板と、負担が増している。あまり負担をかけすぎないよう3連投を避けたり、疲労が溜まったり調子落ちした投手を登録抹消してリフレッシュさせるなどの苦心を重ね、なんとかブルペンを回している感がある。
阪神は現在、ゲラ、桐敷拓馬、漆原大晟、島本浩也といった中継ぎ陣が2軍調整中ということもあり、1軍ブルペンに余裕があるわけではない。このままでは勝負どころの9月以前に、中継ぎ陣が登板過多で疲弊してしまう危険性がある。
「その危機を回避するためには、野手陣の得点力を上げることと、先発陣の踏ん張りが必要。ここまで7QSの村上頌樹や6QRの才木はさすがですが、1QSの大竹耕太郎やQSのないビーズリーはもっと多くのイニングを投げないと、ブルペンはますます疲弊してしまいます」(前出・在阪スポーツ紙デスク)
藤川監督の苦心に報いるためにも、先発陣の奮起が待たれる。
(石見剣)