ドジャースは「補強の勝者」でもある。オフのフリーエージェント市場で巨大な資金をバックボーンに、次々とビッグネームを獲得してきた。そのドジャースがシーズン中の緊急トレードで獲得したのが、レッズの守護神アレクシス・ディアスだ。メジャーリーグ関係者が言う。
「クローザーを予定していたタナー・スコットが不振に陥っています。5月29日のガーディアンズ戦ではスコットが打たれ、勝ちゲームを落としました。4月は安定していましたが、5月は11試合登板で防御率は7点台です」
ディアス獲得が発表されたのは、敗戦ゲーム終了から約10時間後のこと。まさに緊急補強だった。しかしドジャースであっても、シーズン途中の補強は「難しい」と言わざるをえない。というのも、
「ディアスはチームに合流するのではありません。チームは5月31日から本拠地でのヤンキース戦を控えていますが、彼が向かったのはロサンゼルスではなく、オクラホマ州です」(前出・メジャーリーグ関係者)
行く先は傘下の3Aチーム。ディアスはロサンゼルス行きの飛行機に乗らず、オクラホマ州のウィル・ロジャース・ワールド空港行きのチケットを手配した。つまり、傘下のオクラホマシティ・コメッツに配属されたのだ。
シーズン中のトレード、それも開幕から試合に出続けていた投手なのだから、「調整期間」は必要ない。メジャーリーグの試合出場が可能な40人枠入りが保証されての移籍だったが、ドジャースの首脳陣は「ディアスを公式戦のマウンドに上げるのは危険。様子を見てから」と判断したようだ。
「ドジャース側が仕掛けたトレードであることは間違いありません。ディアスは近年、成績を落としており、2022年は1点台だった防御率が2023年に3点台、昨年は3.99で、かろうじて3点台をキープした程度です。今季も6試合に登板し、防御率は12.00です」(メジャーリーグアナリスト)
ディアスはメジャーデビューした2022年、59試合に登板した。2023年70試合、2024年60試合とタフネスぶりを見せているが、肝心の投手成績は下降の一途。レッズがトレード商談に応じた理由はこのへんにありそうだが、見方を変えれば、投手の実力を見抜くドジャースの眼力が試される機会となった。
「当然、ドジャースはディアス復活を確信し、トレードを申し込みました。大谷翔平が投手復帰しても当面は短いイニングしか投げさせない予定なので、リリーフの頭数を増やしたかったのでしょう」(前出・メジャーリーグ関係者)
ドジャースのロバーツ監督は、ケガの少ない投手を好むそうだ。その点でディアスは指揮官のお眼鏡にかなったようだが、復活を果たせるのか。
(飯山満/スポーツライター)