春のグランプリ、宝塚記念に3歳のトップクラスを誘致しようという意図で、ダービーの1カ月後に開催が移設されたのが96年のこと。それが今年からダービーの2週後。出走資格は3歳以上のままだが、案の定、登録は1頭もいなかった。過去30年を振り返っても、1、2着馬はゼロ。02年にローエングリンが3着したのが唯一の馬券圏内で、03 年にネオユニヴァースが4着、07年にウオッカが8着と、ダービー優勝馬が参戦しても結果を残せなかったのだから、誘致策は見事に失敗したと言えるだろう。
3歳馬が参戦しないとなれば、暑くならないうちにやるのが正解。この前倒し策は、古馬の一線級にとっても朗報に違いない。特に喜んでいるのは、ファン投票1位に支持されたベラジオオペラだ。「極端なぐらい暑さに弱い」(上村調教師)のは周知の事実で、昨年は3着とほぼ力を出し切ったものの、そこからの立て直しにかなり苦労している。この日程なら、秋の始動も早まりそうだ。
肝心なのは、今回がどうかだが「ポツポツと気温が高い日もありますが、今のところ夏バテの心配はないです。レースが2週早まったのはもちろん好材料。開催2週目で馬場が荒れていないのもいいですね」と、上村調教師。体調の把握と調教プランの緻密さに定評がある人だけに、この分析は非常に心強い。軸はあっさり決定だ。
阪神替わりの2週目で馬場状態がいい、ということを重視すれば、単騎逃げが濃厚なメイショウタバルの逃げ残りが大きく浮上してくる。本命のベラジオオペラが3番手ぐらいでみんなの視線を集中して浴びることを考えれば、マークが薄くなるというのも大きなプラス材料。前走、ドバイで初コンビを組んだ武豊騎手が「想像以上に折り合いはついた」と言い、イメージどおりのため逃げの形になれば怖い存在だ。
レガレイラは有馬記念を勝ったものの、その後に骨折が判明。5月半ばから時計を出し始めたが、せいぜい8分の雰囲気。底力でどこまで持ってこれるか。
ローシャムパークは栗東に滞在中。環境の変化に敏感とのことだが、そんな様子もなく非常にいい雰囲気だ。昨年は5着。その後の成績は一息だが、大きく変わる可能性もありそうだ。
ロードデルレイは崩れない馬。追い込み型なので馬場が合うかどうかだが、今回も圏内には来ているのだろう。
アーバンシックは人気ほどの信頼はなさそうで、ジャスティンパレスも同様。
ドゥレッツァはつかみどころがないが、人気の盲点に入るようならもちろん買い。ヨーホーレイクの大阪杯3着は多分に展開の助けがあったが、それでも脚は見せた。