03年スタートの「エンタの神様」(日本テレビ系)で「クールな毒舌スナイパー」として人気を博した長井秀和氏(55)。女性がらみのスキャンダルで世間を賑わせたのも今は昔。現在は西東京市の市議会議員として、政治の世界で“間違いないっ!”旋風を巻き起こしている。
─最初に、政治家になろうと思ったきっかけは?
長井 もう皆さん、忘れているかもしれませんが、コロナ禍で飲食店や芸能関係者がすごく苦労されているのを見ましてね。生活もままならない人たちのセーフティネットを作れないかっていうのが、きっかけでした。それで、21年に政治団体を立ち上げて、その翌年に市議会議員に当選したという経緯です。
─政治の世界に入ってからの苦労は?
長井 政治の世界は“しがらみ”が多いっていうことは、父親(武蔵村山市議会議員を務めた長井孝雄氏)を見て知っていましたから、無所属で出馬したんですよ。それに、西東京は個人的な縁もありませんから、苦労っていう苦労は‥‥。政治家は人柄も評価される世界ですから、あんまり薄汚れた格好では出歩けないっていう程度ですか(笑)。
─長井さんといえば、女性の影が付きものですが?
長井 余計なお世話ですよ(笑)。若い頃は、チヤホヤされて「全部にお応えします」っていうこともあったんですが、今はもう55歳ですから。時間もパワーも大切に使わないともたないですし、そういう気持ちも減ってきましたね。それに、西東京市のイチ市議会議員ですので、わざわざハニートラップを仕掛けようっていう人もいないだろうし。逆に、学生時代から猛勉強してきたっていう政治家のほうが今になって遊んでるんじゃないですか。
─では、市議会議員として心がけていることは?
長井 市民の声を議会に届けるのが大切な仕事ですので、電話で意見や相談を受け付けています。相談内容は多彩で、宗教2世の問題、児童相談所に関することやコロナワクチンの健康被害など、人によってそれぞれ違います。その悩みに対して、然るべき機関にお繋ぎしたり、適切に回答できるように努めています。
─回答に困る相談も?
長井 相談してくださる方の中には、精神が疲れている方もおられるんですよ。でもこれは、本当か嘘かわかりませんが‥‥とある男性が、夜にマスターベーションを行って、絶頂に達すると、必ず家の前に警察官が立っていると。「おそらく世界の諜報機関に見張られていると思うんだけど、どうすればいいか」っていう。正直ね、こっちがどうすればいいんだっていう話なんですけどね(笑)。電話なので状況がよくわからないので、「これからは夜じゃなくて、昼間にやってみたらどうですか」って、お答えしましたけど。
─難しい悩みにも神対応ですね(笑)。実際、市民の声を政策に?
長井 ひとつは、西東京市に市民広場っていうところがあって、そこでキッチンカーを使えるようにしましょうと。飲食店を経営されている方にとっては、少しでもお店の味を知ってもらえてお客さんを増やすチャンスになるんじゃないかということで、現在はキッチンカーが出店するようになりました。それと、今学校ではタブレットを導入した教育が盛んで、「英語教育を充実させたい」というお話があったんです。私自身、英検1級で留学経験もあるので、その重要性を議会に提案したことで、英語教育に関するアプリが導入されました。市議会議員は法律を作れないので、そうやって市民の声を反映して、よりよい社会づくりに力を注いでいますね。
─市議会議員1期目ですが、今後の目標は?
長井 政治家一人ができることって限られているんですよ。政党から公認を受けて、数の力で政治をしていくという構造は国会も市議会も同じなんで、人数合わせの議員も多いんです。だから、居眠りするようなやる気のない議員もいる。なのに、月額報酬や期末手当を合わせて、およそ850万円ももらえるなんて、おかしいじゃないですか。その状況を変えるために、そういう事実を市民の方々に知ってもらうことも重要な役割だと考えています。だから、「国政に出ないのか?」って、たまに聞かれるんですけど、今は市議会議員としての務めを全うしたいと思ってますね。
─では、次の参院選には絶対に出馬されないと?
長井 それは、間違いないでしょう。