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Posted on 2025年10月06日 06:30

【江戸時代の仰天話】小柄な虚弱体質男が262キロを持ち上げる「日本一の怪力王」になったら「毒殺」された

2025年10月06日 06:30

 江戸時代後期、文化4年(1807年)に武蔵国岩槻領三野宮、現在の埼玉県越谷市で生まれた三ノ宮卯之助という男は、あまりの怪力自慢が祟って命を落としてしまった。

 当時、農村部のレクリエーションのひとつに、地域対抗の力比べがあった。ところが卯之助は生まれつき虚弱体質で、しかも小柄だったため全く戦力にならず、周囲からお荷物扱いされていた。
 なにしろ、地域の威信がかかった対抗戦である。戦力にならなければ馬鹿にされるだけでなく、爪弾きにされる。そのため、卯之助は一念発起してトレーニグを重ね、ついには江戸を代表する力自慢になった。

 当たり前だが、当時はバーベルなどはなく、力石と呼ばれる石を持ち上げ、その重量を競ったという。22歳の頃、瓦曽根村で70貫、262.5キロの力石を持ち上げたというエピソードが、卯之助には残っている。

 現在、重量挙げの世界記録は109キロ超級のラシャ・タラハゼ(ジョージア)が持つ、スナッチ223キロ、ジャークの265キロだ。卯之助が70貫の力石を本当に持ち上げたとすれば世界記録を更新し、オリンピックで金メダルを獲得していたかもしれない。
 
 卯之助はその力を、単なる地域対抗の力比べで終わらせることはしなかった。近隣の力自慢を集めて、全国を巡る興行を始めたのだ。その巡業先は津々浦々に及び、彼の名を刻んだ力石は深川八幡、鎌倉鶴岡八幡、遠くは信州の諏訪神社などにも奉納されている。また、地元・越ヶ谷の手久伊豆神社や三野宮の香取神社にも「大磐石 嘉永元歳 三之宮卯之助持之」などと刻まれた力石が残されている。

 ついには大阪方の力自慢にも勝ち、日本一の称号を得たが、それが災いしたのかもしれない。興行主に呼ばれた帰りに、急死したのだ。実際は卯之助に負けた大阪方の力自慢が一服盛った、との説が今も根強い。どんな力自慢も、毒には勝てなかっということか。

(道嶋慶)

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