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記事全文を読む→前駐豪大使・山上信吾が日本外交の舞台裏を抉る!~逃げ腰の石破政権も加担する「法の支配」の形骸化~
先日、同志社大学の教え子の依頼を受け、模擬国連関西大会の開会式で挨拶した。
模擬国連とは、国連の会議を真似た大学生による討論会だ。参加者は各国の大使に扮し、各種課題について徹底討論をする。課題への理解を深め、討論手法を磨く格好の機会となる。日本の教育制度で欠落している口頭での説明能力を磨く手段としても有用だ。
夏の暑い盛りに神戸に集まって二日間議論するほどの熱意。国際社会が直面している問題に対する意識が高い学生が集まっていることが想像できよう。そうした場所でのメッセージだけに、将来を担う若者への期待を込めて現状を憂えた。
最たる具体的問題は、「法の支配」の形骸化だ。
2016年、南シナ海での海洋権益を巡る中国とフィリピンとの間の紛争を巡り、国際仲裁裁判の判断がくだされた。当該判断は最終的で法的拘束力を有するにもかかわらず、いわゆる「九段線」の主張を退けられた中国は、これを「紙の無駄」として愚弄し、無視した。
14年及び22年、プーチンのロシアはウクライナを明白に侵略した。歴史的な経緯がどうあるにせよ、ロシア系住民の比率が高いにせよ、1991年のソ連邦解体の結果成立したウクライナという国連加盟国の主権と領土保全が踏みにじられた事実は否定できない。安保理常任理事国たるロシアによって国連憲章の最重要原則が一顧だにされなかったのだ。
2025年、トランプのアメリカは、自動車、鉄鋼、アルミニウム製品等について世界貿易機関(WTO)で約束(譲許)した関税率を一方的に引き上げた。さらに、ガット時代から受け入れられてきた無差別原則の根幹たる最恵国待遇に反する形で、貿易相手国ごとに米国が恣意的に設定した相互関税を適用する挙に出た。明確な国際貿易ルール違反だ。
まさに、大国による国際法違反が横行し、「法の支配」が揺らいでいる現状がある。
そうした暗澹たる状況下で、日本の振る舞いはどうか?
幕末の開国時に欧米列強から不平等条約を押し付けられた日本。その後、関税自主権を回復し、治外法権を撤廃するために武力に訴えはしなかった。「富国強兵」をモットーに日本の近現代化を実現。相手国に日本の力量を認めさせて条約改正の道筋をつけていった。
だからこそ、民主主義、人権尊重、市場経済といった「価値」と並んで「法の支配」を日本外交が掲げたのは国柄に沿ったものであった筈だ。
だが「法の支配」は、呪文の如く唱えていれば実現するものではない。個別具体の事案に応じての対応こそが肝腎であり、法の支配を強化すれば、毀損することもあるのだ。
この点で最近の日本外交の成績表は決して誇れたものではない。
23年、福島第一原発の処理水を「核汚染水」と呼ぶ中国は、日本からの水産物を全面禁輸する過剰措置に訴えた。科学に基づかない貿易規制であり、明確なWTOルール違反だ。しかし、岡野正敬外務次官(当時)の下での外務省はWTOで設けられた紛争解決手続に則って中国の措置を問題視する道を取らず、対中配慮で二国間交渉を優先した。結果として今なお10都県産の水産物の輸入禁止は解除さえされていない。
米国による関税引上げに際しても、中国やカナダ、さらにはEUといった主要貿易国がWTO提訴に出るか、少なくともその可能性に言及して米国の翻意を促したのに対し、石破政権はトランプを刺激するのを恐れるあまり、「鞭」をちらつかせることさえしなかった。
こんな腰の引けた対応では、「法の支配」など、絵に描いた餅に終わってしまう。
仏に魂を入れる。そんな外交を展開して欲しいものである。
●プロフィール
やまがみ・しんご 前駐オーストラリア特命全権大使。1961・年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、84年・外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、ワシントン、香港、ジュネーブで在勤。北米二課長、条約課長の後、2007年・茨城県警本部警務部長を経て、09年・在英国日本国大使館政務担当公使、日本国際問題研究所所長代行、17年・国際情報統括官、経済局長を歴任。20年・駐豪大使に就任。23年末に退官。同志社大学特別客員教授等を務めつつ、外交評論家として活動中。著書に「中国『戦狼外交』と闘う」「日本外交の劣化:再生への道」(いずれも文藝春秋社)、「国家衰退を招いた日本外交の闇」(徳間書店)、「媚中 その驚愕の『真実』」(ワック)、「官民軍インテリジェンス」(ワニブックス)等がある。
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