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記事全文を読む→江上剛が選ぶ今週のイチ推し!〈国際政治からアニメ文化まで裏でつながるニュースの構図〉
「世界のニュースを日本人は何も知らない 7」
谷本真由美・著
ワニブックスPLUS新書/1265円
毎日、ニュースが溢れる状態で、私たちの脳裏からなんの爪痕も残さず消えていく。そのような状況の中で、本書はニュースを深掘りして、背景や裏側を垣間見せてくれる。
まず、世界各地で中毒者が増加している合成麻薬「フェンタニル」の恐ろしさに言及する。トランプ大統領は、この製造拠点として中国を名指しで攻撃している。日本は無関係と思いきや「輸出の中継地点が日本だった」と昨年、日経新聞がスクープした。汚染が拡大しつつあるようだが、いったいどうなっているのか。
著者は、経営管理ビザを悪用し、そこに中国人などの違法薬物業者が入り込んでいると指摘する。この薬物問題からアメリカと中国、ロシアの対立に切り込み“現代版アヘン戦争だ”と言及する。日本政府もようやく経営管理ビザや、外国人による不動産取得の厳格化などに踏み込んだ。スパイ防止法についても議論が始まった。これらの動きは、すべてが違法薬物問題にも関連しているのだ。
個々の事件を、それぞれ個別に捉えるのではなく、関連して捉えることを著者は教えてくれる。
世界の動きのニュースばかりではない。
例えばAI時代になると、今まで何をやっていたかわからない“総務部おじさん”の価値がダイヤモンド並みに上がる、と指摘する。なぜならAI時代になると資料は簡単に作れるが、相手を観察し、説得し、商談をまとめる話術など、より人間的な能力が求められるようになるからである。
また大学に行くのはコスパが悪くなる、と言う。なぜなら、大学で学ぶことが時代遅れになっているからである。優秀な人材は大学に行かずに最先端企業に就職し、新しい技術を身につける方がいいのだ。実際、アップルの米国内の従業員は、約半分が非大卒(19年時点)だそうだ。
最近、日本のアニメが世界を席捲しているが、それについても本書は詳しい。
特に「鬼滅の刃」の海外での人気の理由は「超高品質の作画とIMAXなどのフォーマット」「感情移入」「ファンコミュニティ」の存在である、と指摘する。ポケモンの「ピカチュウ」は、海外で民主主義のシンボルとなっているそうだ。あの可愛いピカチュウが悪と戦う健気さが、権力者に虐げられている人々の共感を呼ぶのかもしれない。
日本のコンテンツが世界で受け入れられている状況は、政府を後押しし「さらに輸出を増やそう」と意気込んでいるが、評価されているのかを十分に検討する必要があるだろう。本書を読むと、表現の自由、思想の自由などが確立され、守られている日本だからこそ、ユニークなアニメを作ることができるのだということを改めて知る思いだ。
江上剛(えがみ・ごう)1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。77年、旧第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行し、人事部や広報部を経て、支店長などを歴任。02年に『非情銀行』で作家デビュー。10年、日本振興銀行の経営破綻に際して代表執行役社長として混乱の収拾にあたる。「翼、ふたたび」など著書多数。
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