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記事全文を読む→“JRA最年長ジョッキー”鉄人・柴田善臣が語る「60歳勝利への執念」(3)今の目標は60歳で勝って引退
3月8日終了時点でJRAの通算騎乗数が2万2285回、通算勝利数は2341勝、重賞はGⅠ9勝を含む96回の勝利を収めているが、22年春にはJRAの現役騎手では初となる「黄綬褒章」を受章した。
「ビックリしましたよ。この時は頸椎を痛めて、手術と入院で5カ月近い休養を余儀なくされていたんですけど、病院にJRAの理事長から電話がかかってきて『ウソでしょ!? なんで俺が?』って。最初はケガで休んでいる自分を勇気づけようと、ウソをついてるのかと思いました(笑)」
当時はコロナ禍のために褒章伝達式は行われなかったが、その後、思わぬサプライズがあったという。
「天皇賞(秋)の観戦で、天皇陛下が東京競馬場に来られた時にお会いすることができました。天皇、皇后両陛下ともすごく競馬がお好きで、とても詳しくて驚きました。僕が以前、騎乗した馬が宮内庁の騎馬隊にいるということで、その馬と一緒に撮られた写真をわざわざ持って来ていただいて。とても恐縮しました。『まだまだ頑張らないといけない』と、気持ちが引き締まりましたし、とても光栄で励みになりましたね」
落馬などの危険を伴うジョッキーにとって“ケガはつきもの”と言われるが、善臣騎手も例外ではない。40年以上にわたる騎手生活は、まさにケガとの闘いでもあるのだ。
「本当にあちこちやっていますね。(福永)祐一が調教師に転身する時に『俺、どこも痛くないから体を替えてもいいよ』って言われたぐらいで、完全に体がいい時がないぐらい。ただね、2歳下のノリ(横山典弘騎手)は『どこも痛くない』って言うんですよ。もう、うらやましいったらないですよ(笑)」
近年では24年の12月に左肩腱板断裂で戦列を離脱。手術やリハビリを経て翌25年9月6日に復帰を果たしたものの、50代後半での大ケガだっただけに「引退」の文字が頭をよぎった。
「たぶん、このまま辞めるんだろうなって思いましたよ。やっと装具が外れてリハビリを始めたけど、なかなか腕が上がらない。しばらく左腕はまったく使えない状態で、寝るのもつらいですし、体を洗う時も右手でできる部分だけやって、あとは家族を呼んで洗ってもらうみたいな」
何とか日常生活は送れるようになったが、ジョッキーとして動ける体にはほど遠かった。
「筋肉はほとんど落ちているし、体重も軽くなっている。年齢的に考えても『これはちょっとキツいなぁ』と。体が思うように動かないと、レースに乗っていても危ないですからね。自分だけ落馬してケガをするぶんにはまだいいけど、競走馬や一緒のレースに乗っているジョッキーたちにも迷惑がかかりますから」
それでも鉄人は、9カ月ぶりに戦列へ舞い戻ってきた。そして3週間後の9月27日中山11R、ピースワンデュックで復活後初勝利を挙げたのだ。
「何と言うか、やっぱりもう1回挑戦してみたくて。このまま終わったら何か嫌だなって。自分の中でまだジョッキーを続けたかったんでしょうね。今の目標は『60歳になって勝って辞める』こと。自分でもやっと目標を立てたんですよ。今ですら本当に体がキツいですから。実は先日、腰を痛めてしまって、今日(3月4日)の調教を休んでいるんです。薬が出たから何とか我慢できていますけど、歩くのもしんどくて‥‥」
1966年7月30日生まれの59歳。還暦を4カ月半後に控えて満身創痍になりながらも、馬を信じ、競馬を愛し続け、その騎乗する姿で数多くのファンを魅了してやまない。
同世代も多いアサ芸読者に向けてメッセージをお願いすると、次の答えが返ってきた。
「自分はこうやって、好きなものに向かってやっています。たぶんそう遠くないうちに馬を降りるとは思いますけど、また“次の楽しいこと”を見つけて生きていこうと思うし、自分ではそれでいいんじゃないかって。読者の皆さんも、どこかで退社なり、引退ということがあると思いますけど“人としての引退”はもっと先にあります。時間はいっぱいありますし、今までやってみたかったことに挑戦して、そこに向かって楽しめれば、ずっと続けられると思います。ぜひ、チャレンジしてみてください」
鉄人・柴田善臣騎手の挑戦は、今後、まだまだ続いていく─。
柴田善臣(しばた・よしとみ)1966年7月30日生まれ、青森県出身。85年3月にJRA騎手デビュー。確かな騎乗技術と豊富な経験で長く第一線を走り続けるJRAでは最年長の名手。22年には春の黄綬褒章を受章した。安田記念や高松宮記念などGⅠ9勝。1月31日に今年3度目となる勝利を挙げ、自身の持つJRA最年長勝利記録を更新中。
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