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Posted on 2026年04月15日 06:45

【プロ野球ダークサイド】球審の判定は何%正解か「NPB球審スコア」が弾き出す「誤審率」と「どっちのチームに有利になったか」

2026年04月15日 06:45

 審判が「評価される側」に回った。そのことが何を意味するか、プロ野球ファンはまだ半分しか理解していないかもしれない。

 近年、MLBで急速に市民権を得ているのが「Umpire Scorecards」だ。全投球の位置データをもとに球審の判定精度を確率的に数値化し、試合ごとにXで一般公開する。
 日本でも「NPB球審スコア(@umpscore_npb)」というアカウントが登場し、NPB+(NPB公認プロ野球速報アプリ)の投球データを使ってストライクゾーンを可視化し始めた。グラウンドの向こう側にいた審判がスタンドから、いや画面の前から丸裸にされる時代が静かに、しかし確実に来ている。

 4月12日の日本ハム×ソフトバンク。山村裕也球審のスコアカードが、翌日のXに流れてきた。審判歴14年、38歳のベテランが叩き出した数値は全体正解率93.03%、ストライク正確率98.46%。いずれも平均を大きく上回る。ひと言で言えば「優秀な審判の仕事」だ。
 ところが総合有利度で、ソフトバンクに+2.71点という数値も同時に弾き出されている。

 問題の場面は1回、一死満塁、6番・牧原大成の打席。3ボール2ストライクからの8球目、内角低め146キロのカットボールを牧原が見送り、押し出しの3点目が入った。しかしデータ上、このボールはストライクゾーン内。この判定だけで、ソフトバンクに1.45点のアドバンテージが生まれる計算になった。

 球審の判定精度が高いのに、なぜズレるのか。答えのひとつは、低めのゾーンにある。NPBの審判は伝統的に低めを厳しくとる傾向があると言われるが、それはデータにも表れやすい。加えてキャッチャーのフレーミング、つまりミットの動かし方が判定に影響を与えることが、統計的に示されている。
 93%の正確さを誇る審判が、それでも「現場の感覚」と「データの正解」の間で揺れる。それが2.71という数字に圧縮されている。

93%の正確さでも残される「マイナスの記録」

 +2点台はひどいのではないか、との指摘はあるものの、「一貫性があるなら、まだ許せる」との空気が。昔のプロ野球ファンなら「誤審=審判を叩く」としていたところが、データを共有することで「構造的な問題」として捉え直す視点が生まれている。それはある種の成熟かもしれない。

 ただ、居心地が悪いのはここからだ。可視化は「監視」ではなく「正当な評価」のチャンスだ、という言説がある。数値が出れば、優秀な審判が報われる。確かにそうかもしれない。だが93%の正確さで仕事をして、それでも「2.71点の有利を与えた審判」として記録される。ルール上の正しさとプロ野球ファンの納得感は、必ずしも重ならない。その溝を、データは埋めてくれないのだ。

 今季からMLBでは投球チャレンジ制度が始まった。誤審が映像で即座に確認され、いずれはロボット審判=ABS(自動ボール・ストライク判定)の流れが加速するだろう。機械が投球を正確に捌けば、2.71という数字は消えるかもしれない。
 だが、それで本当に「納得できる野球」になるのか。その答えを、データはまだ持っていない。

(ケン高田)

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