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記事全文を読む→魔娑斗VS武田幸三「一生、後悔させてやる」の人生で最もキツかった結末/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
格闘技ブームが最高潮に達しようとしていた2003年。その中心にいたのは「反逆のカリスマ」こと、魔裟斗だった。端正なルックスと圧倒的な実力、そして相手を完膚なきまでに叩き潰すビッグマウス。当時、彼が放つひと言ひと言はリング上の打撃以上に鋭く、対戦相手のプライドを切り裂くに十分だった。
そんな魔裟斗がプロとして、そして一人の男として剥き出しの敵意を隠そうともしなかった相手が、同じく日本中量級のトップ戦線を走っていた武田幸三である。
武田は、元ラジャダムナン・スタジアム認定ウェルター級王者で、「超合筋」と称される肉体から繰り出されるローキックは、対戦相手を何人も再起不能に追い込んできた。
コトの起こりは、2003年7月5日にさいたまスーパーアリーナで開催される「K-1 WORLD MAX 2003」決勝トーナメントを前にした記者会見。静かに闘志を燃やす武田に対し、魔裟斗は挑発の手を緩めず、
「武田選手? 全然、興味ないっすね。眼中にない」
武田がこれに「礼節に欠ける」と苦言を呈すると、魔裟斗はこう言い放ったのである。
「俺のことガタガタ言ってるらしいけど、リングに上がったら言葉なんて関係ない。あんなローキック、俺には当たらない。俺と戦うことを選んだこと、一生後悔させてやるから」
この発言はメディアによって、センセーショナルに報じられることになる。当時、魔裟斗はセルフプロデュースの一環として、あえて「悪役」を演じることで、世間の目を格闘技に向けようとしていたらしい。
そして迎えた決勝トーナメント準決勝。「問題発言」の相乗効果もあって、さいたまスーパーアリーナは15000人を超える観客で埋め尽くされた。
左足がパンパンに腫れ上がり自力歩行はままならず
壮絶な削り合いとなったこの試合、武田の「殺しのローキック」が魔裟斗の左足を捉えるたびに、場内に鈍い音が響く。一歩も引かない武田。しかし魔裟斗のスピードと正確なコンビネーションが、次第に武田の顔面を捉え始める。結果は魔裟斗の判定勝ちだった。
だが試合後、魔裟斗の左足はパンパンに腫れ上がり、自力で歩くことすらままならない状態だった。のちに魔裟斗はこの試合を「人生でいちばんキツかった試合」と回想しているが、相手を「一生、後悔させてやる」とまで言い切ることで、おそらくは自分自身を退路のない崖っぷちへと追い込んだのだろうか。
発言の是非はともかく、あの時代の格闘技がこれほどまでに熱狂を生んだのは、アスリートたちが綺麗ごとを脱ぎ捨て、魂を削り合う言葉をぶつけ合っていたからにほかならない。
魔裟斗の言葉は単なる暴言ではなく、新時代を切り拓こうとする若き王者の「覚悟の証明」だったのである。
(山川敦司)
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