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記事全文を読む→“独占入手”トクリュウ「闇手口マニュアル」の悪辣(3)詐欺集団に弁護士が付く
他にも、かけ子の拠点となる事務所に関しては〈3カ月に1回は変わった〉と証言する。
〈1つの事務所で長くやっていると、若い男が数人出入りしていることを不審に思った隣人が通報し、摘発されてしまうことがある〉
そのため2拠点に分散し、発信元を隠す。それでも警官に踏み込まれた場合に備えて、名簿には「青汁購入者リスト」と明記していたという。
意外にも、トクリュウにも夏休みらしきものがあったという。
〈7月20日から8月31日までの期間は、かけ子が夏休みに入る。この期間に長い休みを取るのは対象者(被害者)の親族が帰省し、家族ブロックにあうため〉
しかし気を許すことはできない。驚くべきことに、かけ子のグループには特殊詐欺事件を多く扱う弁護士が付いているという。
〈検察から開示された捜査報告書を精査し、定期的に勉強会を開いている。携帯の解析方法、電話会社の通話明細の保存期間など通常知りえない捜査手法までわかり、とにかく知識が豊富〉
こんな具合に、彫師は17年8月に逮捕されるまでの約5年間も詐欺を行い、その件数は優に200件を超えていたという。
それにしても、彫師はなぜ、ここまで詐欺グループの実態を赤裸々に綴ったのだろうか。実はある別の目的があったという。
〈何より自分が起こした事件で冤罪被害にあった方がいる。‥‥私が偽証したわけではないが、本当に迷惑を掛けてしまったという言葉に尽きる〉
彫師が冤罪を主張するのは、22年2月に特殊詐欺容疑で逮捕された元関東連合の主要メンバー佐野光治被告だという。
佐野被告は、17年7月から19年1月の約1年半に1都8件で66件、被害総額1億1000万円の詐欺事件に関わったとされる。
その嫌疑は、今回の手記に登場する指示役の山口が佐野被告の配下で詐欺を行ったとの供述が元になっている。彫師は法廷でも佐野被告の無関与の旨を証言しているが、採用されなかった。そのため、決死の覚悟で今回の手記を記したというのだ。
手記のタイトルに使用した「後悔」は、冤罪を起こしたことに関しての後悔でもあった。だが、その雪冤はついにかなえられることはなかった。
佐野被告は、約4年半にわたって再逮捕が繰り返されたが、うち8件で起訴され、24年12月9日に懲役6年の判決が下っている。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。詐欺犯罪について、その実行犯が手口をつまびらかにする事例は極めて少ない。
特殊詐欺犯の手の内の裏まで知っておき、読者諸兄には防衛手段の一助としてほしい。
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