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Posted on 2026年10月31日 10:00

「世代論」で読むプロ野球〈令和の怪物世代・続〉(1)朗希世代が感じた才能の距離

2026年10月31日 10:00

 佐々木朗希は、令和の怪物世代を象徴する存在だ。その圧倒的な才能には、同じ01年度生まれで甲子園をにぎわせた奥川恭伸、宮城大弥も距離感があった。だが、高校生最速、完全試合達成などの国内での栄光は、渡米後も続くわけではなかった。苦悩する怪物はみずから道を拓いていく。

 2001年度生まれ、19年の夏を高校3年生として迎えた世代。その象徴として、佐々木朗希の名前がある。高校時代の163キロ、プロ入り後の完全試合、そしてMLB挑戦。野球の可能性を押し広げるような出来事が、その歩みには並んでいる。

 しかし、同世代の歴史は、佐々木だけを追っても見えてこない。甲子園で主役を務めた奥川恭伸、プロでいち早く先発陣の柱になった宮城大弥。彼らとの関係を重ねると、「令和の怪物」の輪郭も変わってくる。佐々木は世代の象徴であるが、あらゆる面で先頭に立ち続けてきたわけではない。

 19年、この世代には異なる2つの物語があった。大船渡高の佐々木は、高校日本代表候補合宿で高校生最速(当時)となる163キロを計測し、全国大会への出場経験がないまま、大きな注目を集めた。

 一方、星稜高の奥川は夏の甲子園で準優勝。さらにU18ワールドカップのカナダ戦では、7回18奪三振を記録した。未知の可能性を想像させた佐々木と、大舞台で完成度を示した奥川だった。

 ただ、並び立つ2人にも、相手との距離を感じる瞬間はあった。163キロを目にした奥川は、「自分にはあんな球は投げられない」と話している。全国の打者を抑えられる投手でも、同学年の1球によって、自分が持っていないものを意識させられる。世代のトップ同士だからこそ、比較は切実になる。

 その2人を見ていた宮城の視点も興味深い。侍ジャパンのインタビューで高校時代を振り返り、佐々木、奥川、西純矢、石川昂弥らとの練習でレベルの違いを感じたと語った。自分は代表に選んでもらったという意識が強く、彼らは当然のように選ばれる選手に見えたという。

 別の取材では、当時の自分を「サブキャラ」と表現している。もちろん宮城も、オリックスにドラフト1位で指名された逸材だ。それでも本人の中には、さらに目立つ才能を追う感覚があった。注目度と自己評価、周囲の期待と本人の実感は、必ずしも一致しない。

 佐々木に4球団、奥川に3球団が競合した19年のドラフト。宮城は、オリックスが2度抽選を外した後の1位指名だった。この違いは当時の評価を映すが、その後の実績まで決めるものではなかった。01年世代の面白さは、高校時代に描かれた序列が、プロ入り後に何度も書き換わっていくところにある。

ゴジキ:野球評論家・著作家。「データで読む甲子園の怪物たち」(集英社新書)ほか著書多数。「マネジメント術で読むプロ野球監督論」(光文社新書)が重版出来。発売前から重版となった最新刊「システムで読む甲子園」(カンゼン)が絶賛発売中。Yahoo! ニュースエキスパート。

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