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記事全文を読む→「世代論」で読むプロ野球〈令和の怪物世代・続〉(3)渡米後に認めた「技術不足」
25年1月、ドジャースの入団会見で佐々木が掲げた課題は、意外なほど地に足がついていた。「直球とフォークを見てほしい」と話す一方、好調時の投球を年間で維持することを重視した。日本で残した最高の1日を、そのまま米国へ持ち込めばよいとは考えていなかったのだろう。
大谷翔平や山本由伸が同じ球団に在籍していることについても、佐々木は「日本人選手の存在を、球団選びで重要視したわけではない」と説明している。そのうえで、優れた選手たちと一緒にプレーできることへの期待を語った。
世界のトップを目指すなら、完成してから同じ場所へ行くのではなく、そこで競争しながら不足を埋めていく。渡米には、そうした「選択としての意味」があった。
しかし、現実は厳しかった。25年3月29日、本拠地初登板となったタイガース戦では、四球を重ねて2回途中で降板。試合後、佐々木は「本当にシンプルに技術不足かなと思います」と語った。緊張だけに原因を求めず、直球もフォークも十分にコントロールできなかったと説明したのである。
この自己評価は重い。3年前に完全試合を達成した投手であっても、環境が変われば、自分の投球を成立させる条件を確認し直さなければならない。
練習ではできていた動作を、打者と向き合う試合の中でも繰り返せるか。狙いから外れた一球のあと、修正を急ぎすぎず次の球へ入れるか─。過去の実績は自信の支えにはなったとしても、目の前のボールをストライクへ変えてはくれない。
それでも佐々木は、結果が必要だと認めながら、「小さくまとまりすぎないことも大事」と話した。失敗を減らしたいからといって、球威まで失ってしまえば、自分の長所も消える。目先の試合を成立させることと、将来の大きな投手像を守ること。その二つを同時に求められるのが、MLBで学ぶ若い投手の難しさだ。
右肩を痛めた25年は、レギュラーシーズンで10試合、1勝1敗、防御率4.46にとどまった。ところが、救援へ役割を変えたポストシーズンでは9試合で3セーブ、防御率は0.84。長い離脱を経た1年の最後に、世界一を争う試合で必要とされる投手になった。
優勝後の本人は、「悔しいシーズンになりましたけど」と振り返っている。チームの成功に加われた喜びと、先発として十分に働けなかった悔しさは両立する。そのどちらかを消してしまうと、MLB1年目の実像は見えなくなるのだろう。
ゴジキ:野球評論家・著作家。「データで読む甲子園の怪物たち」(集英社新書)ほか著書多数。「マネジメント術で読むプロ野球監督論」(光文社新書)が重版出来。発売前から重版となった最新刊「システムで読む甲子園」(カンゼン)が絶賛発売中。Yahoo! ニュースエキスパート。
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