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記事全文を読む→広島・黒田博樹「不屈の野球道」(1)周りの人々を魅了するそのカリスマ性
1年20億円とも言われる巨額オファーを断り、8年ぶりの日本球界復帰を果たした黒田博樹。広島カープを24年ぶりの優勝へと導くため、再び「背番号15」の赤いユニホームに袖を通した“漢”は、メジャーをも席巻した圧巻の投球を続けている。40歳になってもなお進化を続ける、黒田が歩んだ野球道の軌跡を追いたい。
「(声援がすごすぎて自分の)引退試合という感じだったけど、うれしかったです」
3月29日、黒田博樹(40)は本拠地・マツダスタジアムでヤクルトとの開幕カードに先発し、復帰登板で今季初勝利をあげた。試合後の囲み取材で、こう喜びを語ると、安堵の表情を浮かべたという。この日、黒田は毎回ランナーを背負いながらも粘り強いピッチングで、7回96球、5安打無失点。日本では2740日ぶりの勝ち星となった。その勝利を見守っていた3万1540人の多くを占める広島ファンは、ゲームセットの瞬間、狂喜乱舞した。
「ヒーローインタビューのお立ち台に上がる黒田に対して、球場内のファンは総立ちで拍手喝采。号泣しているファンもいました。まるで教祖をあがめる宗教儀式のような異様な熱気でしたよ」(広島担当記者)
広島テレビは当日の試合を生放送したが、瞬間最高視聴率は39.7%を記録。この数字は、機械式測定器導入後のデーゲーム中継では史上最高となった。
“黒田信者”になっているのはファンだけではない。“生ける伝説”がお手本として目の前にいるのだから、大瀬良大地(23)や野村祐輔(25)、九里亜蓮(23)といった若手投手たちが総じて黒田のピッチング論を信奉しているのは当然だろう。
「その日の状態でベストの結果を出すだけ」
広島復帰後、初の公式戦への意気込みを記者に聞かれた際、黒田は淡々とこう答えたというが、実際にキャンプ時から若手らには、
「教えることはそんなにない。とにかくストライク先行でいけ」
との言葉を与え、そのうえで捕手主導ではなく、投手が自分で考えてゲームを作る必要性を説いて、
「自分がおかしいと思ったら首を振れ」
と、助言してきたという。
選手として広島で優勝を成し遂げたいという思いだけでなく、黒田の「カープ愛」は将来を託す若手たちへの指導も惜しまない。
結果、優勝に向けてチームの士気が高まっているというのもうなずける。
崇高な存在と化し、その待遇もまるで“神様扱い”。先発投手は試合開始の5時間前には球場入りするというのが一般的。だが、黒田はヤンキース時代と同様に3時間前の球場入りが許されている。
「練習は免除。現在は黒田だけに認められた特権です。ベンチ裏ではストレッチをしたり、さらにルーティーンとしてヤンキース時代にメンタルコーチが作ってくれた1分程度の映像をiPadで見て試合に向けて精神力を高めたりしていますね」(広島担当記者)
そしてプレーボール30~40分前にベンチに姿を現すと、スタンドはもう大喝采だ。ブルペンキャッチャーを立たせてキャッチボールを開始する。だんだん距離を離していき、外野まで行って遠投をし、また徐々に距離を縮めると準備完了。メジャーリーガーたちを打ち取ってきたピッチングを披露すべく、先発のマウンドに上がるのだ。
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