スポーツ
Posted on 2015年05月18日 17:56

競馬界の巨大王国「ノーザンファーム」の独走と野望(6)「降着制度」に意見申し立て

2015年05月18日 17:56

20150521m

 レース選択にも両者の強い信頼関係がうかがえる。

「昨年、松田師がハープスターを8月の札幌記念(GII)に使ったのは、明らかに(10月の)凱旋門賞(フランス・GI)をニラんでのもの。洋芝の札幌競馬場で古馬相手に好走できれば(凱旋門賞の舞台である)ロンシャン競馬場でもやれると思っての参戦でした。そして実際にゴールドシップを負かしたことで、行く決心がついた。レース後、『あとは勝己さんと相談して』と、うれしそうに言っていましたが、もちろん勝己さんも『ぜひ行きましょう』と二つ返事。2人の心は一致していました」(競馬ライター)

 美浦の堀調教師といえば、ノーザンファームの寵愛を一身に受けていることで有名。引退した騎手を調教助手として多く抱えている厩舎ゆえ、馬の仕上げには定評がある。それは栗東・吉田直弘厩舎から転厩してきたモーリスの活躍ぶり(転厩後3連勝)を見れば一目瞭然。競馬記者の間で「どうして凡走を繰り返していた馬があんなに変われるのか」と驚きの声が上がったほどである。

 確かな腕の持ち主だから、ノーザンファーム生産の評判馬が毎年何頭も入厩してくる。今年の皐月賞(GI)を圧倒的な強さで勝ったドゥラメンテもその一頭だ。

「逆に言えば、ノーザンファームとの関係が薄い弱小厩舎などは、経営が苦しくなっている現状もある」(厩舎関係者)

 との声もあるが‥‥。

 こうして生産者、調教師、騎手の関係が高いレベルで絶妙に保たれているからこそ、ノーザンファームは強いのだ。

 さらにその影響力、発言力はJRAそのものにも及んでいる。

「降着制度が海外と同じ基準になったのも、社台サイドの『いたずらに降着させるのはいかがなものか』という意向が通ったからだと聞きます。でも、もとを正せば、社台の馬同士が起こした降着騒ぎ(10、12年のジャパンカップ)が発端。何ともおかしなものです」(馬主関係者)

 もはや日本国内では独走状態。今後の目標はズバリ、世界一になることだ。それは勝己氏も明言している。具体的には、世界の主要大レースに勝利すること。

 凱旋門賞、キングジョージ、ブリーダーズカップ、ケンタッキーダービー、ドバイワールドカップ‥‥。

 振り返れば、ノーザンファームの世界の大レース制覇の始まりは06年のメルボルンカップでの、デルタブルースとポップロックのワンツーフィニッシュ。オーストラリア最大のレースを日本馬が制したことで、現地では大きな話題となり、これを機に、日本からのオーストラリア遠征が頻繁になっていった。

 勝己氏の長男・俊介氏は、海外挑戦をしていくことを約束したうえで、こう断言している。

「日本のいちばん強い馬がいちばんいい状態で行けたら、(凱旋門賞にも)絶対に勝てると思っています」

 社台グループは3人の兄弟(吉田照哉氏、勝己氏、晴哉氏)による3つのグループから成り立つが、ともに60歳を過ぎている。そのため、息子たちにビジネスに関する諸々の事柄を学ばせている最中だ。この帝王学継承がうまくいくかどうかで、今後の社台、そしてノーザンファームの行方も決まってくるだろう。

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年01月14日 07:30

    昨年あたりから平成レトロブームを追い風に、空前の「シール」ブームが続いている。かつては子供向け文具の定番だったシールだが、今や「大人が本気で集めるコレクターズアイテム」として存在感を放つ。1980年代から90年代を思わせる配色やモチーフ、ぷ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月19日 07:30

    鉄道などの公共交通機関で通勤する人が、乗車の際に使っている定期券。きっぷを毎回買うよりは当然ながらお得になっているのだが、合法的にもっと安く購入する方法があるのをご存じだろうか。それが「分割定期券」だ。これはA駅からC駅の通勤区間の定期券を...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月22日 07:30

    今年も確定申告の季節がやってきた。「面倒だけど、去年と同じやり方で済ませればいい」と考える人は少なくないだろう。しかし、令和7年分(2025年分)の確定申告は、従来の感覚では対応しきれないものになっている。昨年からの税制の見直しにより、内容...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/2/3発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク