社会
Posted on 2015年07月11日 09:55

榎木孝明が実践した「不食」の健康境界線とは?「不食のよしあしの分かれ目」

2015年07月11日 09:55

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 食べない人々の体験を聞くと、すぐさまマネしてみたくもなる。だが、榎木は会見で「誰にでも勧めるものではない」とも忠告していた。実際に、榎木は病院に泊まり込みで医師の指導を受け、各種検査を繰り返すなど、万全を期したうえでの実践だった。その費用はなんと80万円。おいそれと出せる金額ではない。

 いや、人間は食事をしなければ、餓死することを本能的に知っている。金よりも命が惜しい。先駆者たちの経験に生死を分けるポイントがあるはずだ。

 例えば、山田氏の場合。最初は1日1食と食事を減らすことから始まったという。そして3年かけて、生野菜や麩、お茶、きな粉など水に近いようなもので胃腸に負担をかけないようなものを微量だけとるという生活に入った。山田氏も「食べないことで餓死の恐怖を意識することもあった」という。だが、体調が悪化することもなく、餓死の恐怖もいつしか思い込みと思えて消えていったそうだ。

 意識だけがポイントなのか。森氏はこう言う。

「短期間の少食なら気合いや根性で乗り切れるかもしれませんが、断食でも不食でも、食事を減らすには作法や流儀があり、一つ間違えれば大変なことです」

 その「作法や流儀」とはいかなるものなのか。都内で断食入院の治療を行っている医師に聞いてみた。渡辺医院院長の渡辺莞爾氏だ。森氏が師事した「甲田メソッド」の源流となる「西式健康法」をもとにした治療法を実践している。

 渡辺氏が解説する。

「飽食の時代と言われて久しい現代社会では、食べることの満足感が優先されて、必要以上に食べ過ぎていやしないかということです。多すぎてもよくありませんが、もちろん少なすぎてもよくない。少食の基本的な考え方の一つに、適正な食事量にすることで、きれいな腸内環境を構築し、それを維持し続けるということがあります。そういう意味では、食生活を変えることは、腸内環境を準備するためのあくまで手段でしかありません」

 つまり、不食に取りつかれ、食べないことを目標にしてはダメなのだ。実際に渡辺氏のもとに、ある年の正月に、こんな患者が駆け込んできたという。

「年末から断食して2日目で、嘔吐して水も飲めないというんです。いわゆる低血糖症ですが、今の人は食事量が高めにセッティングされているので、いきなり断食すると、すぐにダウンしてしまうんです。そもそも肥満の人と普通の人では腸内細菌のバランスも違いますから、体内の実情に合わせた不食をする必要があります。単に日数とか食事量とかの数値目標だけでなく、医師と相談して無理のない環境で、徐々に行う必要があるのです」(渡辺氏)

 森氏も山田氏も専門家の指導のもとでの実践や長年の試行錯誤から得られた成果だったという。個人差があるのだから、なおさら指導なき不食はアウトなのだ。

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