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過酷な移動にも耐え続けた
メジャーでの生存競争はもとより、3Aでの選手生活は過酷そのものだ。メジャー昇格を果たす直前の5月27日、松井と3A・ダーラムの選手たちはノーフォークへの遠征で約300キロを「陸路」で移動させられている。その試合後、いったんダーラムに戻り、28日の試合のため、約920キロ先のインディアナポリスに向かった。
前出・特派員が語る。
「インディアナポリスからセントピーターズバーグへの移動もそうですが、この3日間の移動は並大抵ではありません。マイナーでの移動中、寂れた球場での試合の連続の中で、マドン、モントーヨ両監督はメジャーの恵まれた環境との落差についていけず、ダメになった選手を大勢見てきました。松井はマイナーの劣悪な環境にひと言も文句を言いませんでした」
メジャーの移動手段はチャーター機だ。1人に2人分の座席が与えられるが、マイナーは一般客と同じ座席で大半は「陸路でのバス移動」だ。元メジャーリーガーは、ゲーム以前に移動だけでめいってしまうが、松井は“自分”を失わなかった。球場入りすると入念にストレッチを行う。ランニングやキャッチボールなどの全体練習が始まる前に汗を流し、シャツも何枚か替えている。試合後はたとえ延長戦のあとでもティー打撃やマシンでの「居残り練習」をこなしているという。
こうした寡黙な姿がライバルたちからの異例の拍手につながったのである。
メジャー情報に詳しいスポーツジャーナリストの友成那智氏が、松井の今後をこう分析する。
「6月5日からのヤンキース3連戦あたりから、故障で離脱していた正左翼手のデズモンド・ジェニングスがチームに合流する流れになってきました。ジェニングスは『不動の1番バッター』であり、外すことのできない選手です。『4人目の外野手、左翼手の2番手』のマット・ジョイスは28打点、9ホーマー(5月29日時点、以下同)、DHのルーク・スコットは32打点(リーグ12位)、8ホーマー(同)。ジェニングスが帰ってくるまでは松井を使うと思います。これからが正念場でしょう」
ヤンキース戦とそのあとのマーリンズとの3連戦で「本当の評価」が下されるだろう。
古巣・ヤンキースの先発ローテーションを見ると、ペティット、ノヴァ、サバシアの順。ペティット、サバシアと好左腕が出てくる。松井はサバシアを「通算15打数ノーヒット」と苦手にしている。しかし、ジョイス、スコットはそれ以上に左投手を苦手としており、松井にも十分にチャンスはある。
また、ヤンキースには巨人時代からのライバル、黒田博樹(37)もいる。今回は対戦しないが、「気にしている」と松井の去就を懸念していた。両者の通算成績は67打数21安打(6月5日時点で、3割1分3厘)。松井も「打ち込んだという印象はない」と、黒田を称賛していただけに、ジェニングス復帰後のサバイバルレースにも勝って、好勝負を再現してもらいたい。
「スタメン出場しなかった時は、どこかで出る準備をしている。深いカウントまでいけたし、内容的には悪くなかった」
復帰2戦目の対ホワイトソックス戦の試合後、松井はそう語っていた。
6回に代打で出場したが、三振。フルカウントからの低めのボールを見送ったが、判定は「ストライク」だった。第2打席は「あとひと伸び」が足らず、センターフライ。しかし、高い放物線を描いた飛球は、昨季後半戦の好調時と同じだ。結果には結び付かなかったが、初戦の試合後よりも明るかった。師匠の背番号を加えた“ニューゴジラ”は、確実に復活の手応えをつかんだように見える。
アサ芸チョイス
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