スポーツ

松井秀喜 「逆襲のフルスイング」(6)

師匠がメジャーに「送り出した」
 巨人関係者が証言する。
「実は、松井がFA権を取得した巨人最終年(02年)、原(辰徳)監督、長嶋終身名誉監督は極秘に松井と食事をしています。3人の話題は当然、松井の去就でした」
 原監督は心底から巨人の「残留」を訴えた。松井も指揮官の誠意を感じ、返答に迷った。何度か、こうした三者会談の場は設けられたが、松井は曖昧な物言いしかできなかった・・・。そこには、松井のメジャーに対する特別な思いがあったことは想像にかたくない。しかし、その一方で、巨人に対するなみなみならぬ恩義を感じていたのも松井の人柄ならではだろう。
 原監督は「残留してくれると思う」とフロントに報告したそうだが、長嶋終身名誉監督の心証は違った。「松井のメジャーへの憧れは強く、誰にも止められないだろう」と・・・。師匠の目には、松井のホンネはお見通しだったのである。
「長嶋氏も内心『残ってほしい』とは思っていたはずです。でも、同じ野球人として、最高峰のステージにチャレンジしてみたいという思いにも理解を示していました。松井にも巨人に対する愛着はありました。FA宣言した時、『無言』を貫いたのは長嶋氏の教え子・松井に対する愛情であり、ある意味、その理解が迷っていた松井の背中を押したとも言えます」(前出・巨人関係者)
 長嶋氏が巨人監督に復帰した92年オフ、ドラフト1位指名したのが、他ならぬ松井である。当時の長嶋監督は「4番定着1000日構想」と称し、チームの将来を託した。打撃力を生かすための「外野コンバート」も長嶋氏の“判断”だった。
 それだけではない。長嶋氏は4番定着後も松井を慢心させることはなかった。
 前出・関係者が振り返る。
「第2期長嶋政権は松井のためにあったと言ってもいい。落合博満は彼のお手本、清原和博、江藤智はカンフル剤として獲得したとも考えられなくもない。試合で打っても、スイングがおかしいと長嶋監督が思えば、ゲーム終了後に松井を呼び出し、東京ドームの素振り室でマンツーマン指導していました」

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